市民活動に取り組む団体には、状況を整理して舵取りをする人、実行部隊として目的を着実に遂行するのが得意な人、ユーモアでみんなを和ませるムードメーカー、ピンチの時には、スポット的に手を貸してくれる存在も現れたりと、色々な人が関わって成り立っていることが多くあります。
それぞれの人たちが、自分の生活の中で活動に充てられる時間や能力を提供し、様々な形で関わっています。
では、実際にどんな人が、どのように活動に関わっているのでしょうか。
活動を支えている「あの人」を訪ね、活動の実際のところをアレコレ伺ってきました。
今回ご紹介するのは、日本の伝統文化を伝えるお箏の先生、松澤悦子さんです!
磨いた特技を地域の子どもたちへ
お箏で伝える和の文化
松澤悦子さん 〈64歳/師範〉 中之島地域民生委員、長岡市景観審議会委員
中之島地域でお箏を教えている松澤悦子さんは、お箏を通じて、和の文化を伝えるため熱心に活動しています。
お箏に憧れたきっかけは、中学生のときに聞いた「春の海」に魅了されたこと。その後、寮生活で出会った先輩のつてで、念願のお箏を始め、地元に戻り結婚してからも子育てと並行しながら腕を磨いていきました。
▲お弟子さんにはじめてお免状を出したとき。先生として身が引き締まる思いだったそう。
師範取得後は教える立場となった松澤さんですが、娘さんの一言が転機に。「音大に進んだ娘にお箏を教えてほしいと言われ、自分の子どもをはじめ、地域の子どもたちにお箏を教える機会が今までなかったことに気づきました。日本の文化に触れる機会が少ない今こそ、子どもたちに教えたいと思いました」。持ち前の行動力で自ら中学校に働きかけ、授業の一環で3か月間教えることに。さらに、継続して習える環境づくりを学校側にお願いし、正式に茶道箏部を設立。伝統文化を伝える機会を自らかたちにしました。
▲中学校で指導する松澤さん。ついつい指導に熱が入ってしまいます。
松澤さんが大事にしていることは、ワクワクしながら習えることと、子どもたちにお箏が出来る環境を整えること。邦楽や箏部が題材の漫画の曲など、子どもたちが楽しめる楽曲にも積極的に取り組みます。また、中学卒業後もお箏を続けたい生徒からの相談をきっかけに、誰でもお箏を続けられる環境づくりが必要と強く感じたそう。民生委員だったこと
もあり、コミセンでお箏の体験会を開催し、翌年サークルを設立。高校生4名を含む12名で地元中之島にて活動中です。
▲地元のイベントにサークルメンバーで出演。お箏の演奏で地域を盛り上げます。
松澤さんは今でも東京の宗家に通い自身の鍛錬にも手を抜きません。「教えることは自分で弾くのとはまた違った楽しみと難しさがあります。いつまでも自分も勉強していかなくてはならないと感じています」