市民活動に取り組む団体には、状況を整理して舵取りをする人、実行部隊として目的を着実に遂行するのが得意な人、ユーモアでみんなを和ませるムードメーカー、ピンチの時には、スポット的に手を貸してくれる存在も現れたりと、色々な人が関わって成り立っていることが多くあります。
それぞれの人たちが、自分の生活の中で活動に充てられる時間や能力を提供し、様々な形で関わっています。
では、実際にどんな人が、どのように活動に関わっているのでしょうか。
活動を支えている「あの人」を訪ね、活動の実際のところをアレコレ伺ってきました。
今回ご紹介するのは、パソコンとカメラと探求心で身近な寺泊を発信する市民編集人 小川隆司さんです。
地域って面白い! 地元を掘り起こし発信する市民編集人がつなぐ人の輪
小川隆司さん 〈58歳/製造業〉
野積雪割草を愛する会、赤坂山奉賛会、ツワブキ坂を育てる会
寺泊の風景、風習、イベントなど日々の出 来事をレポートしたWEBサイト「さえずりの広 場from寺泊」。このサイトを運営するのは小川隆司さん。独学で身に付けたパソコンとカ メラの技術を発揮しています。
小川さんが、地域へ目を向けWEBサイトを始めたのは20年前のこと。
▲小川さんが3年がかりでまとめた、紙芝居制作家の笹川良子さんの作品「てらどまり民話伝説」と、WEBサイト、そして7作に及ぶ観光パンフレット。
きっかけは、近所のお寺の住職が地域を出た人向けに発 行していた「ふるさとだより」の存在です。故郷の様子を伝える便りは、読者から好評で50年間毎月発行されました。
▲小川さんが教科書として大事にしている「ふるさとだより」は、地域の出来事を詳細に記載。
「想いが込められた、このふるさとだよりがあってこそ、このサイトを始めたのだと思っています」。
「たまたま、ほんの少しやる気があるだけ」という小川さんは、活動を始めたころは地域への関心は特別高くなかったそう。
しかし、地域情報を求め出かけるうちに、地域の歴史に詳しい人や、山道を整備する人、紙芝居をつくる人など地域を盛り上げようとする人たちとの出会いがありました。
「私は地域を特別 良くしようという大きな志はありません。興味や思いをもって活動する情熱のある人たちと 知り合うことが楽しいんです」。小川さんを突き動かすのは、地域にこんなすごい人がいるということを伝えたいという気持ちです。
そんな想いで取り組む小川さんは、観光パンフレットや、地域の案内看板を制作したりと、活動を広げています。「私の作成した地形図を持って登山道を歩く人や、成 人式に着ていく服の参考にサイトを見てくれ る人もいます」。
周囲の反応がやりがいにつながっています。さらに、複数の地域活動に加わり、現場で汗を流すプレイヤーでもあります。情報発信と実働部隊の二足のわらじで、これからも寺泊の地域情報を編集し続けていきます。
▲地域の住民でつくった寺泊の海辺が一望できる「汐見台」。案内看板や柵を設置し、足元には石を敷き整備。現場で汗を流すことにも積極的。