地域をよくするウワサのあの人にインタビュー!毎月、市民活動に取り組むプレイヤーをご紹介。活動に関わったきっかけや、どんな役目を果たしているのか伺う中で、活動への多様な関わり方が見えてきました。
私たちの地域は私たちで守る
困ったときに助け合えるつながりづくり
上村 光一さん
64歳/主夫/東川口地区自主防災会
1957年長岡市川口生まれ。就職後は県内外で暮らしていたが、中越地震を機に2005年に川口へUターン。防災の他にも木沢陶芸の会など様々な形で地域に関わっている。
平常時の防災活動や災害時の助け合いに取り組む自主防災会。上村光一さんは「東川口地区自主防災会」で、自分たちで工夫した防災訓練の企画運営など、地域の安心安全な暮らしにつながる防災活動をしています。上村さんが会に関わり始めた2014年の防災訓練は、点呼して集まった人を確認するだけのものだったそうです。「やらされている感が強く、本当にこれで良いのかとモヤモヤした気持ちを抱きました」。
そこで、まずは地域課題を知るために、区長や防災委員で各災害の発生確率と被害の大きさのリスク分布図を作成。すると、地震より水害のリスクが高い地域だったことがわかりました。浮き彫りになった課題を地域住民にも考えてもらうために、子どもでも楽しめる「防災クイズ」や災害時に自分のとるべき行動が整理できるオリジナル避難計画の「マイタイムライン」の作成を防災訓練の中に取り入れたそうです。「誰かに言われて動くのではなく、自分たちで地域の問題や課題を抽出したことで自分ごとに落とし込めました。また、訓練を地震から水害を想定したものに変更し、地域課題に合わせるように企画しました」。
2020年には、新型コロナウイルス禍での防災訓練として、住民が集まらなくてもできる「堤防の高さ表示」を製作。人目につきやすい場所に設置するために川口町商工会や地域住民に協力を依頼。翌年には、地域の人から親しみをもってもらえるように堤防表示に東川口保育園の子どもたちからイラストを描いてもらいました。「育まれてきた防災の意識を絶やさないために、形を変えてでも続けてきました」。
上村さんが活動してきてうれしかったことは、地域全体の防災意識が高くなり住民からの協力が得やすくなったこと。行政や地域の団体からも声がかかり、事例紹介をする機会も増えたそうです。「活動を続けてきたことで平常時のネットワークづくりの成果を実感しています。今後は活動がマンネリ化しないように次々と新しいことを考えていきたいです」。私たちの地域は私たちで守る。育まれてきた防災の意識がこれからも人と人とをつなげていきます。
本記事は、らこって2022年1月号でご紹介しています。