Nagaoka Players PLAYER

更新日:2024.10.31

写真が育む山古志との幸せな関係|片桐恒平さん

地域をよくするウワサのあの人にインタビュー!毎月、市民活動に取り組むプレイヤーをご紹介。活動に関わったきっかけや、どんな役目を果たしているのか伺う中で、活動への多様な関わり方が見えてきました。

「山古志の人たちはみんな友だち。大切な宝物です。」と笑顔で語る片桐恒平さんは、山古志の人と暮らしをテーマに写真を撮り続けています。

山古志との出会いは、長岡に転居した50年前。
「撮影スポットを求めて長岡の周辺を巡っていた時、山古志にたどり着きました。棚田や山林など里山の美しい景色や昔ながらの暮らしを営む人たちの姿に、日本の原風景を見ているようでとても感動しました。」
山古志に一目惚れした片桐さんは、時間を見つけては撮影に訪れていました。
しかし、当時は知り合いもおらず、カメラをぶら下げた“ヨソ者” を住民は訝しげに眺めていたそうです。
「自分もさほど積極的な性格ではないため、打ち解けるまでに少し時間がかかりました。でも撮った写真を名刺代わりに渡すと大変喜ばれて、食事をごちそうになることもありました。次第に多くの人から声をかけられるようになりました。」
片桐さんの評判は村全体に広がり、地域行事や学校行事を撮影したり、ガイドブックや広報資料に起用されたり、小学校での写真教室も頼まれるようになりました。
「撮影はすべてボランティア、写真も無償提供です。喜んでもらえればそれで満足です。」
片桐さんは写真をコミュニケーションツールにして、住民と交流を深めていきました。

歴史や風土を記録した写真の数々。劣化したフィルムの修復にも注力しています。

 

山古志を語る上で避けて通れないのが2004年に発生した中越地震。片桐さんにとっても忘れられない大きな出来事です。
片桐さんは山古志での撮影を終え長岡市内の自宅に戻った直後地震に遭遇しました。山古志は全村避難となり、現地の状況を知るすべがなく心配が募ります。
やがて、一時帰宅を許され、住民とともに山古志に降り立つと変わり果てた村の姿に呆然。
片桐さんがフォトルームとして借りていた一軒家も全壊し、保管していた機材や撮影フィルムにも大きな損害が出ました。
被害の大きさに打ちひしがれながらも「被害の状況、そして復興していく姿を写真に収めなければ」と決意を新たにし、村中を歩き回って撮りためた写真は地震被害や復興への歩みを語る上で貴重な資料になっています。地震の翌年には復興応援写真集「山古志のこどもたち」を出版。また、定期的に写真展を開催して、山古志の魅力や震災の記憶を多くの人たちに伝えています。

やまこし復古王交流館「おらたる」などで写真展を開催し、訪れる人に山古志の魅力を伝えている。

現在は高齢となり春夏秋冬1日中ファインダーを覗くことは難しくなりましたが、撮影への意欲はまだまだ衰えてはいません。「山古志を後世まで語りついでいくために、これからも撮り続けていきたい。」山古志への思いに溢れた片桐さんの写真、機会があればぜひご覧ください。

 

こちらの内容は、YouTubeのほか各種音声メディアでもお楽しみいただけます!
ぜひご視聴ください。