地域をよくするウワサのあの人にインタビュー!毎月、市民活動に取り組むプレイヤーをご紹介。
活動に関わったきっかけや、どんな役目を果たしているのか伺う中で、活動への多様な関わり方が見えてきました。
吉村 美紀/会社員/中野東怜人会
1988年長岡市生まれ。地元の伝統芸能である神楽舞の舞手、篠笛の奏者。趣味はサーフィンやヨガというアクティブな一面も。
中野東怜人会(なかのひがしれいじんかい 以下怜人会)のユニフォームである作務衣姿で現れた吉村美紀さん。
怜人会は、中之島の中野東集落に伝わり100年以上の歴史を持つ、市の無形民俗文化財に指定されている「中野東神楽」の保存団体です。

作務衣にはメンバーの名前が刺繍されています
生まれも育ちも、そして現在もずっと中野東に住み続けている吉村さんは、小さいときから神楽を見て育ちました。
小学校4年生の頃、途絶えていた子どもが舞う「稚児舞」を復活させる際に、声をかけられ関わるようになりました。
「稽古は厳しかったけど人前で舞を披露することは好きでした。 また友達と一緒だったので心強かったです。」
中学では部活に打ち込みたいと神楽舞から離れ、その後も仕事や趣味に忙しい日々を過ごしていました。
30代に入った頃、イベントで会の先輩とたまたま再開し、神楽の大人舞に誘われました。
乗り気でなかった吉村さんを後押ししたのが、その場に一緒にいた外国人の友人。「日本の伝統文化に携われるなんて素晴らしい!その姿をぜひ見たい」と熱望されて「じゃあやってみるか」と決めたそうです。
実は、女性が怜人会に加入したのは吉村さんが初めて。
各地で伝統芸能の保存団体の解散が年々増える中、怜人会も危機感を持ち、男女の垣根をなくさなければいけないと考えていました。
しかし、地域の一部からの冷ややかな視線を感じて、当初は戸惑ったと言います。
くじけそうな心を支えたのは先輩たちの励ましでした。
その想いに応えようと、吉村さんも過去の映像を見返して舞のレパートリーを増やし、篠笛は見よう見まねで指の動きを覚え、必死に稽古を重ね、今では怜人会に欠かせない一員になりました。
「最初に後押ししてくれた外国人の友人も、神楽を見に来て“ビューティフル!”と喜んでくれました。」
そんな吉村さんの背中を見てか、新たに若手も加わり、現在は70代後半から20代までが活動しています。

稲島稲荷神社の祭礼で「五穀撒(ごこくちらし)」の舞を奉納。初めての披露だったのでとても緊張したそうです。

舞台袖で篠笛を吹く吉村さん。舞手が舞いやすいように調子を合わせています。
「稽古も祭礼もいろいろと大変だけど、楽しいという気持ちが勝りますね。会の先輩とは親子ほど歳が離れていますが、みんな向いている方向は同じ。伝統をみんなでなんとか継承していこうと取り組む時間は、地域に少し貢献しているのかな。とやり甲斐を感じます。」
先人が守りつないできた宝を未来へ受け継ぎ、地域と世代を結ぶ架け橋となること。それが吉村さんの願いです。
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