市民活動に取り組む団体には、状況を整理して舵取りをする人、実行部隊として目的を着実に遂行するのが得意な人、ユーモアでみんなを和ませるムードメーカー、ピンチの時には、スポット的に手を貸してくれる存在も現れたりと、色々な人が関わって成り立っていることが多くあります。
それぞれの人たちが、自分の生活の中で活動に充てられる時間や能力を提供し、様々な形で関わっています。
では、実際にどんな人が、どのように活動に関わっているのでしょうか。
活動を支えている「あの人」を訪ね、活動の実際のところをアレコレ伺ってきました。
今回ご紹介するのは、いつでも自分の使命を全うする努力家な栗林弘一さんです!
現役時代の経験を地域に還元!
次なる使命は防災知識の伝承へ
栗林弘一さん〈60歳/元消防士〉特定非営利活動法人ピュアはーと副理事長、民生児童委員、着衣泳指導員
まっすぐで努力家の栗林さんは、消防士だった経験を活かし、防災知識などを地域の子どもやお年寄りに伝える活動をしています。体を動かすこと自体好きではなかった栗林さんが消防士になれたのは、小学校時代の恩師の一言があったから。
「苦手な運動にも挑戦し夢を叶えられたのも、『お前ならどこに出しても大丈夫』という恩師の言葉が背中を押してくれていたおかげ。苦手なことも一生懸命になってしまう性格を分かってくれていたのだと思います」。
在職中は救助活動に役立つよう休日も登山に行ったり、体力増強のためトライアスロンにも挑戦。嫌々始めたことも今では趣味になっています。
▲原点とも言える特別救助隊時代の栗林さん(前列左から二人目)。ヘリコプター飛行時間は延べ741時間。
現在行っている活動に大きく影響しているのが、特別救助隊時代の数々の災害現場での経験。
「防災知識があれば助かったのに…」と思うことも多かったそう。そのため、早く自分の知識を人々に伝えたいと56歳で早期退職。「36年間働かせてもらった経験を市民の皆さんに還元したいと思いました。自分のやりたいことよりもボランティアが優先です」。
現在は“どんぐり太郎”という別名で週の半分以上、トレーニング指導や障がい者支援に精を出しています。
▲在職時代のトレーニングを応用した高齢者施設でのチューブトレーニング。自身の介護経験も活かされています。
栗林さんが一番広めたいことが水難事故時に役立つ“浮いて待て”。浮いたまま呼吸を確保し救助を待つ「着衣泳」を夏場は月20回程度、市内の小学校などで教えています。近年、世界でも着衣泳の理念が注目されており、全国の小学生に伝えるのが栗林さんの目標です。
「まずは長岡の全小学校に広めていきたいです。そして子どもたちの笑顔を守り、水難事故による悲しいニュースがなくなることを願っています」。
▲栗林さんが力を入れている着衣泳の指導。子ども達からもどんぐり太郎先生の愛称で大人気。