活動レポート REPORT

更新日:2018.11.26

【開催報告】11/10米国ポートランドに学ぶ“まちのつかい方と活かし方”を開催しました!

11月10日(土)に米国ポートランドに学ぶ“まちのつかい方と活かし方”という講演会を開催しました。

 

とりあげたのは「米国住みたいまちNo.1」と評価されたポートランド。

アメリカ西海岸にあるオレゴン州最大の都市で、人口は約64万人。車を30分走らせると豊かな自然に触れられる地方都市です。

まちの中心を川が流れていたり、自然や農作物が豊かで人口は違えど、長岡市との共通点も多いまち。

まちの中心部では建物の用途転換に積極的で、店舗とオフィスを複合させた高密な市街地を形成し、車を所有しなくても生活可能な職住接近コンパクトシティが実現しています。

また、ローカル思考と地元優先の精神があり、誇りを持ちながら住むポートランド市民の市民性が注目されてきました。

 

そんなポートランドについて、第1部の講演会では、『グリーンネイバーフッド―米国ポートランドにみる環境先進都市のつくりかたとつかいかた』の著者である、吹田良平さんをお迎えし、まちのリアルなお話しを伺いました。

まず吹田さんから、自分のまちを考えるうえで比較対象があるとモノサシになる。といったお話がありました。参考事例はいろいろあれど、同じまちはありません。他を知って自分のまちを知っていく、今回もそんな機会になればいいなと期待を膨らませ、講演会が始まりました。

 

まずは、ポートランドの気候や気質について。
・ポートランドのあるオレゴン州周辺は太平洋沿岸部を南北に貫く山脈に挟まれた盆地ゆえ、雨が多く、豊かな自然に恵まれている。作物の実りも一年を通して多い。
・険しい山々に隔たれ、アメリカ中東部との隔絶されていたことから、古くは先住民が暮らしていた土地。そこへヒッピーたちが集まり、共同生活をはじめた歴史を持つ。
・そんな経緯から、助け合いの精神や自立性に富んだ気質がある。

 

ポートランド市民の中には、「大手コーヒーチェーン店を拒んだまち」と言って誇りに感じている人もいるそう。有名店の誘致や事業の拡大よりも、工夫や想像的な地元の個人店を評価する人が多いポートランドでは、個人が営むまちのコーヒーロースターも人気です。

 

近年のポートランドについては、この10年で人口が10万人近く増え、大手企業の参入が相次いでいます。これに伴い、土地の値上がりや人口増加で、これまで中心市街地で暮らしてきた人が郊外にしか住めなくなっいる現状もあるそう。

ポートランドが育んできたクリエイティブな人材を求め、企業が参入してきたことで、まちには大きな変化が起きています。

 

 

そんな現状を踏まえて、吹田さんは3つのポイントを上げています。

<都市の人の交流>
・仕事帰りに2件ほどの飲食店に寄ってから帰宅する人が多い。飲食店では、お客さん同士の会話も盛んで、リアルなところでのコミュニケーションを楽しみ、アイディアの交換が盛んに行われている。
・価値観を共有をし、分かり合えない人がいるからこそ、イノベーション(新結合)は起こる。

<文化的イベント>
・25件のギャラリーが一斉にオープンギャラリーを行う「ファーストサーズデイ」。企業もオフィスを解放し、まちは多くの人で賑わう。
・芸術大学がまちの中心にあり、社会との接点を持って想像都市を創ろうとしている。
・部屋は狭くてもいいけど、まちなかの文化的なことに享受したいという価値感の人が都市には集まってくる。

<ローカルファースト(地元優先主義)>
・「全米の有能な人に評価されるまちにしよう!」と旗を掲げ、そして起業してくれたら長期的にいいまちになる。そんな政策の結果、まちは急成長したが、格差が生まれた。

 

ポートランドが直面する課題に対し、持ち前の市民性を活かし、前向きに立ち向かっているそんな現状も見えてきました。

90分の時間が一瞬に感じてしまうほど、刺激的で充実したお話しを聞くことができました。

 

 

後半の第2部では、長岡近郊で活躍するゲストを交えて、まちの活かし方を参加者同士で膝を合わせて考える時間を取りました。

 

 

 

与板ゆいプロジェクトの田中洋介さんから、「商店街活用・DIY」というテーマで、与板地域での取り組みをご紹介いただきました。

 

(公財)山の暮らし再生機構 地域復興支援員で山古志サテライトを担当されている竹内春華さんからは、「中山間地暮らし」というテーマで山古志地域についてご紹介いただきました。

 

他にも、長岡駅周辺の「中心市街地」や、「食」、「アート』、「ビジネス」の全6つのテーマに分かれて、1人でも多くの人の笑顔につながるような「まちのつかい方」についてアイディアを出し合いました。

 


 

想定していた時間では足りないほど、多くのアイディアがあがりました。

まさに、人との出会いで潜在意識が言語化され形になっていくという吹田さんの言葉を実感する熱いひと時。

このアイディアが実際にまちの中で実現するといいなと思います。

 

この企画は、地域活動に取り組む人を増やしていきたいという想いで、ながおか市民協働センターが主催しました。