コライト

日付:2021年09月21日
活動レポート

みらいシアター トークセッション「ローカルの可能性と、未来のセカイ」

仕事、家族とは違う第3の居場所に地域(ローカル)があります。地域や伝統を守るために脈々と受け継がれてきた地域コミュニティだからこそ感じることができる生きがいや幸せ。ローカルで生きるとはどういうことか。トークセッション「ローカルの可能性と、未来のセカイ」では、自分の好きな長岡を絵本という形に変えて発信している和田悦子さん、山古志の伝統である牛の角突きを女性目線でPRしている森山さんにお話しを伺いしました。

 

【みらいシアターとは】

映画鑑賞とトークセッションを通して、少子高齢化や過疎化などの身近な社会の問題を考えるイベントです。今年度は、山形県にある人口140人の離島「飛島」を舞台にした映画「島にて」を上映。人口減少により、これから多くの地域が直面するであろう社会課題を抱えている島の人々の生活の様子やインタビューを通して、これからのローカルの可能性について考えました。

 

 

【ゲストプロフィール】

・和田悦子さん

1984年大阪府生まれ。進学、結婚で関東に住み、2013年に長岡へUターン。ご主人の営む日本料理ケータリング割烹わだのを女将として切り盛りしながら、長岡野菜の絵本制作、小学6年生の男の子と4年生の女の子の2人の子育てに盛りだくさんの毎日を送っている。

https://nagaokayasai.amebaownd.com/

 

・森山明子さん

1978年魚沼市(旧入広瀬村)生まれ。現在は高齢者介護に携わっている。2013年に山古志 で牛の角突きを初観戦し心を奪われ、ほぼ毎回通うように。その後、2016年には角突き牛の牛持ちとなる。2017年「山古志角突き女子部」を立ち上げ、女性目線で牛の角突きのPRをしている。

 

 

【映画から感じた「ローカルの暮らし」】

――映画を観ての感想を教えてください。

 

和田さん)

60歳で移住してきた男性が一人でゴミ拾いをしていましたが、もといる島民との関係が気になりました。もといる島民は「このまま終わっていくから余計なことするな」と言っていましたが、私は育ったところ、住んでいるところが静かに終わっていく未来を想像するだけで悲しくなる。しかし、そこに住んでいる方はそういう未来を想像しながら暮らしているんだろうと思えました。私は長岡が好きで子どもたちにも長岡を好きになってもらいたいから活動をしているので、私だったら地域のために何とかしたいと思います。

 

森山さん)

予報が悪天候で船も欠航しそうだったため、船の荷物がいつもより少ないというシーンがありました。私たちは荷物を出すと翌日に届くという便利さに慣れ過ぎています。しかし、本当はこれくらいのゆるさが必要で、お天道様がやることだから仕方がないと考えられる方が自然だと思います。現代は便利さを当たり前のものとして捉えがちですが、私は荷物が届かない時にクレームが出てしまう生活に息苦しく感じます。島にいると自然とおおらかさが身につき、そのような姿が素敵だなと思いました。

 

 

【活動を通して地域の関わり方】

――映画に出てくる飛島の若者はいい意味で肩の力が抜けているように見えました。和田さんはご自身の活動を無理やり大きくしていない点で飛島の若者たちと通ずるところがあると思いますが、いかがでしょうか?

 

和田さん)

私が想像していた地域を活性化する若者は、多くの人を巻き込みながら地域を盛り上げていく派手なイメージでしたが、飛島の若者は肩の力が抜けている印象を受けました。私は制作した絵本を多くの子どもたちに見てもらいたいという想いで活動を始め、最初は高いモチベーションを保ちながら想いを実現するために頑張っていました。しかし、途中で頑張りすぎているために、自分の家族や生活が疎かになっていることに気付きました。結果として自分の生活に足をつけた活動をしていかないとだめだなと考えを改め、地域の方たちと地道に良い関係を築きながらバランスの取れた活動を続けることが重要だと感じています。

 

――和田さんは2冊の絵本を発刊されましたが、1冊目と2冊目で作成した手ごたえはどうでしたか?

 

和田さん)

1冊目は長岡市の補助金を活用して5000部を印刷し、市内の幼稚園児と小学1、2年生へ無料配布しました。多くの人に絵本を届けることができたこともあり、子どもから大人まで多くの反響をいただきました。

一方2冊目は、発行した時期が自分の生活が疎かになっていることに気付いた頃だったこともあり、自分のできる範囲で500部を自費で印刷しました。幼稚園、小学校には1冊ずつ配布した他、現在まで約100部を販売することができました。

私は好きな絵本が描ければ良いという気持ちで活動していましたが、1冊目に比べると2冊目の反響が小さかったこともあり、自分のやりたいことに近づくには、絵本を多くの人に届ける必要があるということを学びました今後はこれまでの経験を活かして3冊目の発行を進めていきたいです。

 

――牛の角突きを見に行った中で、徐々にのめり込んでいき山古志地域に関わるようになった森山さんですが、どういう経緯で地域と関わりを持ち始めたのでしょうか?

 

森山さん)

何度も通っていく中で、いつの間にか地域の人からも顔を覚えられ、少しずつ話しかけてもらうようになり、自然と地域の人と仲良くなっていきました。すると、牛を見に行きたいと思うと同時に、牛の角突きをやっている地域の人と会いたい、地域の人のことをもっと知りたい気持ちになっていきました。牛が好きでも地域の人たちが好きじゃないとそこまでのめり込むことはなかったと思うので、地域の人が好きなだから何かを一緒に頑張りたいという気持ちになったのだと思います。

 

――内側から地域と関わることで時間の使い方や見方など変わったことはありますか?

 

森山)

以前は「自分が楽しむため」が一番でした。しかし、運営で内側から地域と関わるようになってからは、自分が誰かの役に立ちたい、自分の時間を無駄にしたくないという想いから、休みの日には自分の役に立てる場所で自分の時間を使い、来た人がどうしたら楽しめるようになるのかを考えるようになりました。

 

【地域の作り手として】

 

――都会にいると地域の祭りなどには通うだけで一時的な関りで終わってしまいます。しかし、ローカルでは自分たちで地域のことをしなければならず、自分たちで地域の祭りを作らないといけない。つまり、ローカルでは消費するより自分たちが生活、文化などの作る側にまわっていきます。農家さんに顔を出して自らも作り手側にもまわっている和田さんは、暮らしを作る側にまわってみての感覚はいかがでしょうか?

 

和田さん)

普段お店を経営していると、金銭的な利益を考えなければいけません。正直、お客さんに喜んでもらえるように考えすぎると自分をすり減らす部分が多くなります。しかし、絵本を制作して読み聞かせをすること、農家さんを訪ねて直接現場を見ることは、自分で吸収したものを形にするという、経済活動とは別のところでの活動となり、それがエネルギー補給になっています。

商業目的で絵本を制作すると多くの人に見てもらえるテーマを選ぶ必要があり、長岡野菜というテーマを選べなくなります。確かに自分の絵本が世界的ロングセラーになることも憧れますが、私は好きな長岡の風景などの要素を盛り込み、子どもたちに長岡野菜や長岡そのものを好きになってほしいという気持ちで絵本を制作しています。

 

――牛の角突きは、もともと地元の人が地元で楽しむために行われていた伝統文化ですが、今は観光の要素が追加されてきています。そのことについて森山さんはどう思われますか?

 

森山さん)

お金がないと運営ができないためビジネス要素も必要です。けれど、長岡市内や新潟県内の方でも牛の角突きを知らない方、見たことがない方が多いので、まずは自分の近くにどんなものがあるのかを知ってもらい、牛の角突きという素晴らしい伝統文化を身近な多くの方に知ってほしいです。

 

――外から地域に関わることで、今までとは違った目線を持って地域外へ発信していると思いますが、その中で気をつけていることはありますか?

 

森山さん)

私が通い始めた頃は、よく観光地にあるようなお土産がなかったので、牛の角突き観戦にプラスして来場者が楽しめるようにマグボトルやドリップコーヒー、手拭いなどのグッズを作り始めました。もちろん闘牛会にも関わることなので、地域の人にも確認しますが、女子部みたいなゆるい組織だからこそ「いいんじゃない」で終わることが多いです。そのため比較的自由に製作することができて、ありがたいです。(笑)。女子部のメンバーと楽しみながら制作しています。楽しみながらやらないと続かないので、その気持ちは大事にしたいです。

 

 

【ローカルで生きる生活の豊かさ、本当の幸せとは何か】

 

――ローカルでは、仕事、家族以外の活動の場を持つことが生活の満足度を上げることに繋がる場合があります。

ローカルで生活や活動をすることで感じた幸せや良かったことは何ですか?

 

森山さん)

まずはローカルに限らず、みんながそれぞれの違いを認め合い、何ができるのかを考えていかなければならないのかもしれません。ローカルで生きることを考えると、長岡(地域)を好きになる気持ちが大事で、生まれ育ったところを好きになることは自分を好きになるということと同じだと私は思います。

昔は田舎にいると活躍できないという空気感がありましたが、今いる子どもたちが長岡で頑張っている・楽しんでいる大人を見ると、地元を自然と誇りに思い、自分も長岡で活躍できるんだ、この長岡で暮らしていきたいと思ってもらえるはずです。まずは自分の地元を知り、魅力を知ることで心豊かに暮らすことができるのではないでしょうか。

 

――自分に多くの選択肢がある都会にいると、自分から一歩踏み出さないと多様な人に出会いにくい環境かもしれません。ローカルにも多様な人がいる一方、ローカルでは地域の行事など必然的に関わらなければいけない環境があります。多様な人に関わることで自然と寛容な心が育まれていくのではないでしょうか。

 

森山さん)

一つ一つの違いに対して「合わない」と思ってしまうとキリがないです。それぞれの違いを認め合い、何ができるのかを考えることがローカルでの生き方ではないでしょうか。ローカルに限らず、どこで生きていても、大事なことですね、きっと。地域では、伝統的な文化を変えることは、とても大変なことだと思いますが、昔のものに新しいものを取り入れるバランスもこれからのローカルで生きる上では重要だと思います。

 

――和田さんは、ローカルで生活や活動をすることで感じた幸せや良かったことは何ですか?

 

和田さん)

この話をいただいてから「ローカルに生きる」をずっと考えていきましたが、映画の中にもあった「島プラスどこか」といった多様な関わり方ができるのがローカルの生き方だと思います。私が長岡野菜の絵本を制作することで、子どもたちには長岡で楽しいことをしている大人がいると思ってもらいたいです。そして、今いる子どもが大人になって長岡を離れたとしても「長岡プラスどこか」というように、長岡をずっと関わりを持ち続けてもらえるような場所にしていきたいです。

 

 

【今後の展望】

――和田さんの絵本プロジェクトの展望を教えてください。

 

和田さん)

今は仕事や生活で絵本プロジェクトに全力で注ぐことはできていませんが、今だからできる「地域に溶け込む」、「地域に長岡野菜を発信する」ことをしつつ、細くても長岡野菜の絵本を描き続けることで、できるだけたくさんの子どもたちに絵本を読んでもらいたいです。結果的に「長岡が好きだ」、「長岡いいな」と思ってくれる子どもたちが増えてたらいいなと思っています。

 

――森山さんが思う角突きの魅力とは何ですか?

 

森山さん)

牛が闘うなんて怖い!という方もいますが、牛の角突きは勝負がつく直前で引き分けにします。牛は家族と一緒で、大事な牛を傷つくまで闘わせないという思いを大事にした伝統文化です。でも牛は本能でぶつかり合うため、目の前で見るとすごい迫力なんです。牛の迫力ある闘いだけでなく、牛へ優しさを感じられるのが牛の角突きです。そして闘っている牛たちを引き分けにする人間の技も大きな見どころです!強い牛もカッコいいですが、弱い牛もカワイイんですよ(笑)そんな山古志の伝統の文化を多くの方に知っていただきたいです!

 

お二人に共通しているのは、その場所や人が好きであること。「好き」から生まれるのが、ローカルだからこそある多様な関りとつながり。互いを認め合い、自分たちで何ができるのかを考えながら活動をデザインできるのがローカルで活動することの魅力ではないでしょうか。

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