長岡市内でSDGsに取り組む方たちを訪問!
今回は「有限会社司生林堂(つかさせいりんどう)」さんにお話を伺いました。
貴団体の概要を教えてください。
長岡市大島新町で菓子店「司生林堂」を営んでいます。
1958年(昭和33年)に創業し、和洋菓子の製造販売をしています 。和菓子作りを通して地域とのつながりを大切にしています。
長岡農業高校や北陸学園の生徒さんへの出張授業を20年以上にわたって実施しており、和菓子の楽しさやものづくりの面白さを伝えています 。
取り組んでいるSDGsの目標と、取り組みの内容を教えてください。
特にSDGsを意識して営業しているわけではございません。
日頃から取り組んでいる活動が、主に以下の3つのSDGs目標につながっていると教わりました。
- 目標2: 飢餓をゼロに お菓子作りの過程で、器具に残った生地を無駄なくきれいに使い切ることを心がけています。これは、食品ロスをなくすことにもつながります。
- 目標4: 質の高い教育をみんなに 県内外の高校や職業能力開発センターで、和菓子製造に関する出張授業を行っています。
- 目標15: 陸の豊かさも守ろう 町内の清掃活動に参加したり、自分たちが所有している山の整備を行ったりしています。
取り組みを始めたきっかけと、これまでの経緯を教えてください。
私たちの活動の中心は、小中学生や高校生、専門学校生への和菓子の出張授業です。私が和菓子に興味を持ってもらいたい、そして、いろいろなことに興味を持つことの楽しさを伝えられたらという思いで、この取り組みを続けています 。
長岡農業高校食品科学科とは25年以上 、北陸学園製菓製パン専攻学科とは20年ほど 、指導を続けています。
この出張授業を本格的に始めるきっかけは、私が50歳を前にして和菓子製造技能士1級という国家資格を取得したことでした 。これは和菓子製造に関する知識や技術を認定する国家資格です 。私は「生徒に教えるなら自分も勉強している姿勢を見せたい」という思いから取得し 、新潟県職業能力開発協会が実施する「ものづくりマイスター」に登録しました 。これは、優れた技能や経験を持つ職人が、若い技能者に対して実践的な実技指導を行うことで、技能継承や後継者の育成を支援する制度です 。
周囲の反応や、取り組んでいてよかったことまたは大変だったことを教えてください。
生徒さんに和菓子を説明したり、一緒に作ったりする中で、最初は興味がなさそうだった生徒たちの目が変わり、顔が変わっていく様子を見るのが、私にとって大きな喜びであり、やりがいです。特に、自分で作った和菓子を前にした時の、達成感に満ちた表情は忘れられない瞬間です。
もちろん、中にはまったく興味を持たない生徒もいるので、大変な時もあります。それでも、授業の終わりにはそれなりの変化が見られるので、その時は本当にやってよかったと感じます。
貴団体の取り組みを通して、2030年にどのような社会をつくりたいですか。
正直に言うと、私は「こんな大きな社会をつくりたい」といったことは特に考えていません 。ただ、「身近な活動が実はSDGsに繋がっている」というラジオパーソナリティの言葉に共感しました 。特別なことをしているという意識ではなく、「ある資源を有効に使う」という根本的な考え方で活動に取り組んでいます 。
残念ながら、和菓子業界全体では後継者不足が深刻です。司生林堂も、私の代で店を閉じる予定でいます。しかし、「続けられるうちは続けたい」と、出張授業やマイスターとしての活動に意欲を見せています 。
和菓子を通して、子どもたちの心を育み、ものづくりの楽しさを伝える私の取り組みが、これからも地域社会に少しでも良い影響を与え続けられたら嬉しく思います。
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