【他人事も自分事!思いやりのチカラ】(高橋)
今年も日本海側を中心に冬将軍が猛威を振るう季節となりました。
雪は豊かな自然環境とそれに伴う食文化などの恩恵を与えてくれます。
しかし、大雪が猛威を振るうとそれはたちまち災害へと転じます。
北陸地方には、雪国固有の暮らしの知恵として民地の中に歩行者空間を設けた「雁木(がんぎ) 」があります。
雁木は一見すると公道(アーケード)のように見えますが、実は私有地であり、さらに私財をもって作られたいわば自発的な往来道です。
つまり、自分の家の土地に歩く人のためにアーケードを自発的に作っているのです。
自発的であるからこそ、それぞれ外観や路面の素材もさまざまで、隣同士の幅や高さが異なり、段差が生ずることも多々あります。
個性を尊重し、みんなで作り上げた雁木。まさに協働です。
そんな粋な心意気を感じる空間は、人以外にも恩恵を与えています。
栃尾の商店街にある1軒のお茶屋さんから雁木に関するこんな話を聞きました…
春から初夏にかけて、ある動物が雁木に毎年来るんだ。何だか分かるか?
それは、幸せを運んでくるツバメ。
実は、ツバメにとって雁木は、子育てをする格好の場となっているんだよ。
雁木に作ることで、天敵のカラスから逃れることができるんだ。
雁木の下を人が歩くことで、カラスはなかなか寄ってきにくい。
地域の小学生が総合学習で雁木を調べに来た時に、毎年そんな話をして雁木にもっと愛着を持ってもらいたいと話しておられました。
長岡に遺る言葉として、「互尊独尊(ごそんどくそん)」があります。
「互尊独尊(ごそんどくそん)」とは、自らというものを尊び、お互いを尊ぶこと。
私財を投じて、全国に誇れる大きな図書館をつくるに至った野本恭八郎(互尊翁)の志です。
長岡に遺るこの志が、雁木という形になっているように私は感じました。
遠く離れた国や地域で災害が起こると、自分には関係ないや…と思ってしまう。
しかし、他人事はいつ自分事になるかわからない。
何事にも興味関心を持ち、他人を思う心も協働の第一歩なのではないでしょうか。
NPO法人市民協働ネットワーク長岡
高橋秀一