【地縁+テーマ型で高密度な地域づくりを】
先日、人生初めての「おたふく風邪」に罹りホントに死ぬかと思いました。ついこの前、一人暮らしデビューをした私、これまでもインフルエンザなどの経験はありますが家族が身近にいたからこそなんとかなっていたものの、家に居るのは私独りの状態で病気に罹るということの大変さを、今回の件で身をもって知りました。
ごはんはつくれないし、買い出しにも行けない。自分自身の容態がどれほどやばいのかも客観的に判断できないし、病院に連れて行ってくれる人もいない。とにかく心細かったです。そんなとき、助け舟となったのは職場の方々でした。病状を心配してくれたり、動けない私の代わりに食糧を買ってきてくれたり。そのサポートが無ければいったいどうなっていたことか・・・。感謝は尽きません。
弱ったときにこそ、人とのつながりが大切であると、おたふく風邪には強く感じさせられたものの、私があのとき死にそうだった件について、アパートの隣に入居している方はきっと知らないことでしょう。と同時に私だって、もし隣人が昨日から病に伏していたとして、そのことを知る余地すらありません。会えば挨拶を交わす関係ではあるものの、互いのアクシデントを支え合う関係性は築けていないようです。しかしこれは決して特別なことでは無いのではないでしょうか。長岡市内でも、学生街や新興住宅街など昔ながらの「地縁」の薄い地域ではごく一般的な関係性なのだと思います。
昔ながらの地縁がどんどんと薄くなっていく傾向にある昨今ですが、人間として「人とのつながり」がいざというとき(個人的な病気から、社会的な災害まで)に特に大切なものであることは変わりません。いざというときこそ連帯して助け合い、乗り越えます。しかしながら、私のようなよそから引っ越してきた身としては、いきなりその地の地縁に入れてもらうことは困難です。私と同様に現代社会では地縁ネットワークに漏れてしまう人々も多くなってきています。
一方、人とのつながりには「テーマ型コミュニティ」というものもあります。趣味や仕事、関心を同一にする人たちによるコミュニティがそれです。そちらは住んでいる場所を問わず、また地縁よりも流動性が高いため転居してきた人でも勇気を出して一歩踏み出せば快く向かい入れてくれるでしょう。そこでのつながりが思いがけず、地縁への入り口となるかもしれません。地域に人とのつながりがなかなか築けずにいる方もまずは、同じ関心を持つ仲間たち探しから行ってみてはいかがでしょうか。段階を経てより強固な地域のネットワークが築けることでしょう。
誰にとっても安心安全な地域づくりは、地縁だけをもってしては困難です。「地縁」+「テーマ型コミュニティ」の合わせ技で、その地に永くいる人も、他所から新たにやってきた人も誰もがネットワークから漏れることのない、高密度なつながりのまちづくりが目指せるものと思います。
NPO法人市民協働ネットワーク長岡
池戸煕邦