4月16日(日)に、栃尾地域にある栗山沢集落で観桜会が開催されました。
この集落は、2004年に発生した中越大地震で世帯数が半数近くに減ったことで、これまで開催してきた行事を続けることが難しくなった地域です。樹齢100年を超え、長岡市の文化財指定を受けるしだれ桜の下で盛大に行われてきた観桜会も開催できない年が続きましたが、2014年から再開。以前よりも規模は小さくなりましたが、地域のみんなで協力して観桜会を開催しています。
この観桜会は、地域外から足を運ぶ人も少なくなく、栗山沢集落が外に開かれる数少ない機会です。祭りを訪れる人の中には、「桜の評判を聞いて初めて来ました」という人もいれば、「昔、おじいちゃんが栗山沢に住んでいたので、懐かしくて来てみました」という人も。観桜会という機会があるからこそ交わせる物語があります。
そして、集落の人たちにとっても観桜会は親睦を深める機会でもあります。
準備の時には住民総出で、ステージを掃除したり、テントを設置したりとそれぞれの持ち場で働きます。腰を曲げたおばあちゃんたちも、「雑巾もってきたよ」とステージに集まり、力強く雑巾がけをしていきます。普段見かけるゆっくりとした動きとは裏腹に素早い動作で驚かされます。
また、「あれがない、これがない」といったちょっとしたハプニングも起こります。そんな時は、「あーしたらいい、こうしたらいい」、「おらが家に取りに行って来てやるいやー」とみんなでカバー。
普段の日常では忘れがちな、多面的な人柄に触れ、信頼関係が深まることもあります。
住民の人数が減り、年齢が上がっていく中で、祭りを開くことは簡単なことではありません。でも、苦労があるから得られることがあり、無理のない範囲でちょっと頑張ることも大切なのかもしれないなと、考えさせられる春の一日でした。
年に一度のこの機会が、少しでも長く続いていくことを心から願っています。
効率や便利さが優先されがちな昨今ですが、手をかけて汗を流すことで、思いのほか得られることがあるかもしれません。周囲の人たちと協力して一緒に汗を流す機会を求めて、また来年もお手伝いに行ってみようと思います。
NPO法人市民協働ネットワーク長岡
岩渕直子