2017.07.31

【今日どう?通信】見えない効果が具体的に見える 数字のチカラ(高橋)

 

 地域活性化の1つの手段として交流イベントがあり、各地域で様々なイベントが行われております。

今回の今日どう通信では、イベントの交流や賑わいを見える形にする1つの事例として、私が経験したことを書きたいと思います。

 

全国的に、○○成人式というものが市民組織で開催されています。

 

本年度長岡市でも、ハタチ(20歳)の2倍になる歳である40歳の成人式「大成人式」が開催されました。

その構想は、2年ほど前に中心メンバーとなる数名の雑談からはじまりました。

 

長岡市では、11地域が合併をしたのですが、合併を行ってからも20歳の成人式は各地域で実施されております。

そこで、「オール長岡なのだから、長岡市全域の中学校を対象にやろう!」と盛り上がりました。どのようなプロセスをすればいいか、コアメンバーで考え抜きました。

 

そこでたどりついたのは、各中学校に幹事役となる人物を探そうということになりました。

全くつながりのない中学校もあります。そこで、仲間のネットワークを使ったり、行政のチカラもお貸し、その甲斐あって幹事だけでも40名を越えるメンバーになりました。

 

 

しかし、同年齢ということだけで集められた仲間なので、すぐには共感できないこともありました。

地域性、個人的な意見など…考え方もバラバラです。

そこで、しっかりと目的をお伝えし、議論と対話を重ねました。

そして、各中学校の幹事と未来についても共有をしました。

瞬間的に盛り上がるだけではなく、この会をすることでつながりが生み出され、仕事やプライベートが充実すること。そして、親世代になっている歳なので、次世代に何を残すか。

少し視野を広げてもらえ、家族、地域、社会のためにこの世代が今一度つながりを持つことの大切さを参加者にも感じてもらおう。

この会が結果として現れるのは、ひょっとしたら数年先かもしれません。それも、振り返ってみればということになるかもです。

 

そんな偶発的なことを願っていたところに、人生の大先輩からアドバイスを頂きました。

「大成人式というイベントの効果というものをもっとマクロな視点で数値化してみるといいだろう」

 

それまでは、当日の人数のカウント(男女比)などを調べればよいと考えておりましたが、頂いたアドバイスを皆に伝えるといろいろな声が上がりました。

「前日や、当日の式典後に同窓会的に集まるようだからその人数をカウントしよう。」

「県外からも久々に帰ってくる人もいるって。」

「この日のために洋服を買った人が何人もいるって!」

「経済効果を調べることも出来るんじゃないか!?」

 

そして、当日…

市内はもちろんのこと、県外からの帰省、そして長岡市の中学校出身で無い方や仕事などで縁のある方も対象年齢が一致していれば参加OKとし、700名が集いました。

 

 

そして、アドバイスを基にして2次的効果を表すことにしました。

すると、同窓会に出席した人の数(大成人式には来なかったけど、中学校の同窓会には出席した人も含めて)822人。

その会場も、旧長岡市内だけでなく、越路地域や栃尾地域など各地域に戻ってからお店へ人が流れました。

どの地域でどれくらいの人数が集い、参加費がどれくらいか…

同窓会だけの総額で380万円という数値が出ました。

その後の2次会(計測できたもの)なども含めると約450万円になりました。

 

あくまでも大成人式は、1つのきっかけでしかありません。

しかし、飲食店だけではありますが、これだけの経済効果があったことは事実です。

この数字が出たのは、各中学校の幹事がきっちりと数字を把握してくれていたからこそです。

「盛り上がったよ!」「にぎわたよ!」という瞬間的な感情の効果(その時の数値)だけでなく、具体的な数値で表せる波及効果(追いかける数値)も出せると、より納得感が増すと感じました。

 

市民が実施するイベントは、把握できる数字を追うことよって効果が分かりやすくなり、マスコミ・企業協賛など次に繋がっていくと思います。

勢いや賑わいも大切なことですが、それをきちんと効果として表わす数字も使命だと思いました。

 

この日参加した人たちが今でも連絡を取り合っていることをよく耳にします。

会話が増えることで、同年代ならではの悩みを話せる間柄になったり、また次の目標を作って動いたり、県外へ出たものの地元とのつながりが新たに生まれたり…。

そして、これからは仕事の付き合いなどで顔を合わせる。

また、同い年だからこそ業種を越えたイノベーションが起こるやもしれません。

それが何よりの効果であり、これから地域還元されるきっかけになるかもしれません。

イベント実施前の会話と実施後の数を追えると面白いかもしれませんね。

 

NPO法人市民協働ネットワーク長岡 高橋