2017.08.02

【今日どう?通信】「コラボレーションの妙」を考える(渡辺)

大正8年頃にイギリスのクロスレー社マンチェスター製作所から輸入された、大型発動機2馬力 200回転 排気量4000cc ホイール直径1050mm 重量800Kg。
これを知り「すごいお宝!見てみたい!」と思われる方がどれほどいるのか。
なんと、日本に2台しかない超レアな代物で、1台は、東京国立博物館に日本の産業遺産として展示されています。そして、なんともう1台は、長岡市の長岡工業高校同窓会事務局が保管しています。さらに、今でも動くのが長岡の方。
つまり、日本国内でたった1台だけの、「動く産業遺産」が長岡に存在するのです。
まったく興味、関心のない方にも少しはその貴重さが伝わったでしょうか。

 

 

農業、林業、漁礁機械の主要動力源として、1930年から1950年代の最盛期には、国内に100社程のメーカーが存在していました。「ヤマハ」「クボタ」「ヤンマー」などの社名は誰もが知るところです。発動機は、日本のモノづくり文化の基礎を築いたのです。

技術の進歩から発動機は、小型軽量で高性能なディーゼルエンジン、ガソリンエンジンにその座を奪われ、徐々に無用なお荷物になってしまいました。重い鉄の塊は、屋外に放置されたまま、納屋の隅に埃を被ったままにされ、誰も見向きもしなくなっていました。

 

 

「新潟県発動機愛好会」は、昭和の目まぐるしく発展した産業界の基礎を築きながらも、忘れられてしまった相棒を訪ね歩き、手当てし、収容しています。その数200台以上。
国内では、年に数回、自慢の発動機を持ち寄り「運転会」が開催されます。新潟県内でも、安塚地域では、20年近くこの「運転会」を町おこしの一つとして開催しています。昨年も8月7日の猛暑日に全国各地から150台を超す発動機、作業機が集まり、独特の爆音を響かせたそうです。

発動機に限らず、「今、自分たちが保存活動をしなければ!」と使命感に駆られ、各分野で60歳代以上の方々が歴史・文化・産業の継承に情熱を燃やして活動しています。
ロマンだけではなく、本当に伝えて行くべきことをどう伝えて行けばよいのか、現代のツールをどう活用したらよいのか、この辺がコラボレーションの妙、面白さにつながります。
あなたならどんなコラボを考えますか?

 

NPO法人市民協働ネットワーク長岡 渡辺美子