2014.09.25

【今日どう?通信 地域の方言をまとめるとすごいコンテンツになる!田舎流情報化の極意】

今日どう?通信
「地域の方言をまとめるとすごいコンテンツになる!田舎流情報化の極意」

普段地域の活動の中で、情報発信が大事だと言われることがありますが、「そんなこと言ったってどうしたらいいんだ」ということがよくあるかと思います。今日は「情報化っていうのはこういうことか」という一つの例をご紹介します。

実家に転がっていた本で、ちょっと面白かった「やまこしの方言」という本がありました。
読んで字のごとく、山古志村の方言が詰まっている辞書のような本です。

製作「山古志村老人クラブ連合会」 初版平成4年10月20日(おそらく初版しか出ていないと思われますが。。)

面白くて端から読んでいると、地域ならではの「情報化」ということの意味を少しずつ感じてきました。

そもそも、今回のテーマでもある情報化の価値として意味を感じ取れた発端は先日9/12に開催した「のもーれ長岡」テーマは「地域は魅力の宝石箱や!のもーれ」としての開催でした。

今回の店主であるにいがたレポ編集長の唐澤氏から、地域の魅力を発表し合った後で、情報発信の考え方についてお話しいただきました。

その中で考え方の肝となる話は、それぞれの地域にあるコンテンツをまずは情報化する(文字や写真、動画など)ところから始まり、それを情報の流通に(紙媒体やメディアやWEB)のせるという考え方。

「 魅力ある地域のコンテンツ 
 → 情報化(文字・写真・動画等)
 → 流通(口頭、紙・WEB・テレビ等) 」
 という流れですね。

かつては「情報化」と「流通させる」は新聞や雑誌、テレビやラジオなどのメディアの方がほとんどやっていて、情報発信に関して地域の方は入り込むすきは少なかったといいます。(口コミという情報発信は有効でしたが。)ですが最近では、個人でも文章にしたり、写真を撮ったり動画をとったり、それが紙やWEBに乗れば誰でも自分なりに情報化して発信することができる時代です。

では、何を情報化したらいいんだろうと考えました。

そもそも、地域の暮らしはありのままでも素晴らしいコンテンツであることが多いです。

地域では当たり前にやっていることが、その暮らしの背景や人の想いなどを知ることで、他の人から見たらとても魅力的で興味深いものになったりしませんか?

暮らしそのままを情報化。

と言うことでこの本のように、方言を文字起こししたことは、とてもエキサイティングなことだなぁと感じた次第です。

ひとりで興奮していてもむなしいですので、少し中身を紹介しますね。

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【辞書】

まずは冒頭、ア行の最初は何かというと。

・ああ(最初にアクセント)=はい。その通りです。相手の呼びかけに対する返事ことば。(例)ああ、ほっか。

・ああ(最後にアクセント)=目下のものに聞き直す時のことば。なに? (同意語)なんしたと

 「ああ」だけでも意味が違う。これも寒い山古志の地域だから、口を開くことを最小限にした結果でしょうか。
 ア行だけでも100を超える語彙が続き、このあと、「あっぱ」「あんぽんたん」「あんつらもん」などが登場します。

次のページが「いいあんべえ」から始まるという期待値の高さに、できれば全部書き起こしたい気持ちを抑えつつ、語彙のページは飛ばして文法やあいさつなどの特集ページに行ってみますと。。

【文法・あいさつ特集】

・あたまにつくことば(接頭語)特集
 「ど」(例:ドすけべ)「ばか」(例:バカごおぎだ)等

・おしまいにつくことば(接尾語)特集
 「のお」(例:またこいやノオ)「かい」(例:いいんがんカイ)
 「ねか」(例:かせがっしゃるネカ)等

・あいさつことば特集
 朝の挨拶「あっちゃくなるげだのお」
 昼の挨拶「まんまにしよぜの」
 夕方の挨拶「いっときに暗くなったのんし」等

祝い事や田植え、石場かち唄など、地域に伝わる「地唄」もたくさん紹介されているので、1曲だけご紹介。

【田植え唄 ー池谷地区】

 ここは街道 道の端 見事に植えて
 讃めらりょう ほめらりょういや ほめらりょういや
 見事に植えて ほめらりょうい

 苗がよければ 代も良い 秋は数(かべ)を
 刈るように 刈るようにゃ
 刈るようにゃ 秋は数を刈るように

 縞の手拭に おはちまあき 代に立つのが
 我が殿 我が殿いや 我が殿いや
 代に立つのが 我が殿ー

 山田 小やちに 田を持てば
 姉さんの白股(しろもも) 蚊が刺す
 蚊が刺すいや 蚊が刺すいや
 姉さんの白股 蚊が刺すー

 日暮れ方の ウグイスが 日笠の中で
 ホーホケキョウ ホーホエッキョいや ホーホケキョウや
 日笠の中で ホウホケキョウー

 めでたうれしや おーさなぶり またも来年
 来てくれやー 来てくれいや 来てくれいや
 またも来年 来てくれー

  ※最後の節は、主として家の主人がうたう。

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「あとがき」なんかも読んでいると、「よおべ」という言葉の解説が、何としても一行に収まらないために、全員で二時間を費やしたと書いてありました。
言葉の意味はココでは紹介できない内容なので省略しますね。

それはさておき、いかがでしょうか。

もう暮らしが目に浮かびませんか?
ここに書いてあるのは、ただただ文字の羅列です。

その暮らしを想像して、興味をもって、ちょっと好きになる。

そんなきっかけをあたえるには十分な情報ではないでしょうか。

普段のことばを文字にすることだけでも、世代も地域も超えた人にも伝わる可能性ができるのです。

情報発信とか、難しく考えると何もできなくなるかもしれません。

でも地域の魅力を、まずは「情報化」するだけで、いつか伝わる「情報の流通」はきっとついてきます。

自分たちの暮らしを、文字や写真、音声などに残してみるという作業。

みんなで軽い気持ちで始めてみてはいかがでしょうか。
まとめる中で、さらに自分たちでも気づかなかった魅力に出会うかもしれませんね。

【樺沢】

方言  写真