2014.10.28

【今日どう?通信】ひとりひとりの小さな声を復興の大きな流れに

今日どう?通信
ひとりひとりの小さな声を復興の大きな流れに

中越地震から10年目の10月23日朝、川口の木沢集落では「震央ハイキング」が開催された。組織だって準備されたイベントではまったくない。川口の復興を共に歩んできた地域復興支援員の春日惇也さんのアイデアで、それに賛同した地域住民、NPO法人くらしサポート越後川口、川口中学校そして9年前震央の場所から「復興元年」を宣言した長岡技術科学大学の上村先生が協力して行われたものだ。中学生、地域住民など総勢150人が、木沢集落から震央地まで歩き、川口復興の花「ヤナギバヒマワリ」を植えた。

川口では、先週行われた「きずなマラソン大作戦」、今週末行われる「Song of the Earth」もすべてそんな、一人、数人の想いから広がったものだ。

ふりかえれば川口の2005年震災1周年、川口運動公園で行われた感謝の人文字もそうだった。この人文字に町民400人が集まった。当時川口町企画商工課の課長であった星野晃男さんは次のように話す「総代(いわゆる町内会長)を通じた動員ではなく、一人一人が自分の想いで集まってきた。こんなことは過去なかった。ここから始まる川口の復興を象徴する出来事だった」誰に言われたからではない、感謝の想いを伝えたいという一人一人が自分の想いで400人もの人が集まったのである。

震災復興を経て被災地でのまちづくりは、これまでと方法が変わったのである。震災という大きなダメージ、大規模な基礎自治体の再編、人口減少、このような環境の変化が、まちづくりの方法論を根底から変えたのである。

行政など大きな組織発の動きで、人々の想いを集めるのは難しい、人々が参加する、力を出す場を作るのは難しい。一人の小さな「この指とまれ」に、みんなが自分のできる力を結集した方が楽しい。指一本、誰しも上げる事ができるまちづくりをしていきたい。思いおこせば、私も所属していた復興支援団体「中越復興市民会議」のキャッチフレーズも「ひとりひとりの小さな声を復興の大きな流れに」であった。また新潟県が先日発表した復興検証でも「中越の復興は『聴く』ことから始まった」と記されている。被災者の声を聴くことで、一人一人の力が引き出されたのである。

阿部巧

1010134_553455071454863_6215241944986607974_n