2014.11.01

【今日どう?通信】 冬間近 長い冬の中で生まれた雪国のお互いさまの文化

【今日どう?通信】

冬間近 長い冬の中で生まれた雪国のお互いさまの文化

先日28日、札幌、旭川、函館、稚内の各市で、初雪が観測されました。
昨年よりも11日早い観測だそうです。
もう冬はすぐそこまでやってきていますね。

今日は、長岡市栃尾地域の冬の生活から生まれた協働のお話をお送りしたいと思います。

その昔、長岡に消雪パイプ(地下水をポンプで汲み上げ、路面に散水して雪を溶かすための設備)が無かった時代。大屋根の雪は道に投げ下ろすしかなかったために、町の通りは降り積もる雪と屋根から降ろされた雪で瞬く間に埋め尽くされてしまっていたそうです。
その当時、冬季間においても地域の生産活動や商業活動を断ち切らせないために豪雪地帯特有の「冬の生活道路」である『雁木(がんぎ)』が生まれました。

 雁木とは、今でいうアーケードの役割です。
しかし、アーケードとは大きく違う点があります。
それは、雁木は一見すると公道のように見えますが、実は各商家の私有地であり、さらに私財をもって作られたいわば自発的な往来道なのです。

 栃尾表町では、積雪地域に欠かすことのできない雁木通りが、住宅の建て替えや駐車場確保のために取り壊され、歯抜け状態となっていました。
 この特徴的な雁木通りの再生を目指し、1997年から長岡市栃尾地区表町住民と新潟大学工学部建設学科とが協働して、町の景観と住環境を住民自らの手でつくり出す活動を行っています。

そのプロセスは…
学生がまち歩きをし、地元の人と飲んだり話したりよったかって交流が生まれる。
その想いを汲んで雁木のデザインされた作品を、住民が投票する。
地元の自然素材を使い、デザインを形にするために地域の職人(大工・建築家・森林組合・青年商工会議所の人たち)の助力を求める。
様々な人の想いが一つとなって雁木が作成され、この活動が続けられているのです。

「雁木はみんなが手をつないでいることと同じこと。」
「連なることに意味がある。」
「単なる構造物ではなく、心をつないで一つの雁木通りになる。」
「雪国の人の情がこの雁木に表れている」
と栃尾の住民の方がおっしゃっておられました。

栃尾に訪れた際には、建造物としての美しさを見てもらいながら、その裏にある人の心と歴史も感じてもらえたらと思います。

【たかはし】

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