今日どう?通信 「地域おこし協力隊から見る協働する力」
「地域おこし協力隊」という事業をご存知でしょうか?総務省が2009年からスタートした事業で、都市部在住者が地方・過疎地域に住民票を移し、地域住民の生活支援から地域おこし活動へ協力するというものである。現在約1000名もの人たちがこの地域おこし協力隊事業を活用し、地方に移住をしている。地域おこし協力隊は、その行政の嘱託職員等の身分で仕事をする。現在この地域おこし協力隊を4,000人まで増やすという政府の方針も出ている。
さて、なぜここでこの地域おこし協力隊を紹介したかと言えば、同事業を実施する自治体の取り組み状況を見ていると、「協働」できる自治体かどうかが手に取るようにわかるからである。「協働」は、価値観や地域課題へのアプローチが違う人たちがいかに一緒に手を組めるかが課題だ。地域おこし協力隊は、その地域のネイティブでないことから、地域の「誰も見向きもしなかった」資源に光を当て、そこにその地域内外の人たちを巻き込みながら、地域に新しい価値を生み出すのである。先日、長野県のある地域おこし協力隊を訪ねたら、40年も放置されていた古民家をリノベーションし、奥さんと美容院を開業し、これからは古民家カフェにするというのだ。
「誰も見向きもしなかった」ということは、行政にとっては自らの想定を超えた地域おこし活動が展開されることを意味する。その想定外の取り組みを、嘱託職員が自らのアイデアで実現に向かって取り組むのである。このような取組みに対して、自治体の反応は2つに分かれる。「想定外」を歓迎し応援する行政、「想定外」を受け入れられず様々な事を理由にストップをかける行政である。
このような事業は、市民協働でもあちこちで起こっていることであろう。市民や市民活動団体による、「行政にとって」想定外の取り組みを、新しい可能性と見ることができるかどうか、行政との協働はそこにかかっているように感じる。
阿部巧
2014.12.22