2016.05.12

【今日どう?通信】新人の戯言、大歓迎

【新人の戯言、大歓迎】 池戸煕邦

 

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春のわくわくとした雰囲気も落ち着きを取り戻しつつあるこの頃、協働の現場でもメンバーの出入りが一段落し、気を引き締めなおして「さあリスタート」という時期ですね。組織内の意識の擦りあわせなど、センシティブなやり取りが特に多く交わされるときだからこそ、新メンバー、“お古”メンバーともに不満の声がよくあがりがちな時期でもあります。

たとえば新メンバーからは、それまで組織が受け継いできた組織独特の“やりかた”がちょっと気に入らなかったり、問題意識の持ち方に違和感があったりとか。一方で、お古メンバーからは何も知らない新人がトンチンカンな主張をするだとか、みんなで積み上げ、共有してきた活動の理念だとか意識的な部分を改めて説明しなおすのが面倒だとか、とかとか。

以上のような新メンバーとお古メンバー間の噛みあわせのズレというのは本当によくあることで、みなさんも思い当たる節があるかと思います。そんなときに私がいつも意識していることをご紹介します。私はこれまでの協働活動のなかで、新メンバー、お古メンバーの双方を経験してきましたが、新メンバー側の立場のときはちょっとした違和感に対して、それまでの自身の経験を基に積極的に意見をぶつけるようにしてきました。例えば、私は今年度からこの職場で働き始めましたが、前任者から引き継いだ仕事を無批判に機械的に行うのではなく、「これは長岡の市民協働にどのように寄与するのか」を逐一考え、疑問があれば上司にぶつけるようにしています。また、お古メンバー側の立場の時は新メンバーからの忌憚ない“口撃”を歓迎していましたし、それを受けたら真摯な態度で自分なりに咀嚼をしていました。

というのも、協働の面白味というのはひとりっきりで取り組んでいては到底たどり着かなかったであろうところに、協力者の予期せぬひと言によって道が開け、到達できてしまうということだと私は思います。このことをうまく説明している、スタジオジブリのプロデューサー・鈴木敏夫氏の言葉を引用します。

 

――プロである必要はありません。若いから、経験がないから出てくる発想、というものがあって、それが役に立ちます。メンバーには、「こういう意見を言ってくれるだろう」という人と、何を言うかわからない人、いわば、プロとアマが必要で、じつは絶対にほしいのは後者なんです。――

 

スタジオジブリもこのように積極的に多様な意見を柔軟に取り入れることによって常にアップデートし続け、誰も見たことのない新たな表現で時代性に富む作品を生んでいるのですね。私たちも「なにも知らない素人が」と新メンバーの意見を排すのではなく、よくよく耳を傾ける姿勢を忘れてはいけません。一方で新メンバーも「私はまだよくわからないから・・・」と引っ込めることなく、気づいたことは積極的に声に出すことが求められるのではないでしょうか。