鯨の塩漬けを使った『鯨汁』といえば長岡では夏の郷土料理です。
わが家では祖母のころから、「ゆうごう」「水茄子」「みょうが」といった夏の定番野菜を、塩で味付けした鯨汁が夏の楽しみでした。県外出身の妻も好きで、毎夏作ってくれます。
お隣の山形県では旬の新じゃがを使う、やはり夏の料理だそうです。
北海道ではお正月料理であったり、地方によって食べられる時期はまちまちなようです。
鯨漁の季節といえば昔から冬ですが、塩漬けの皮付き脂身は、保存して年中食べられたわけですね。
歳時記に鯨は冬の季語として載っているのですが、越後育ちの僕には、その季節感ではいまいちしっくり来ません。実感としてはお盆のころかなぁ?ということで、同郷の俳人・中原道夫先生に採用していただいた俳句があります。
迎火にあぶら注がむ鯨汁 富太
ところで、長岡でも鯨汁は家庭の味が細かに異なるようで、うっかりわが家の味を主張すると具材や味付けの中身で喧喧囂囂になったりします。根菜が入ったり、かぼちゃが入ったり、味噌味だったりもするそうですね。
僕のおすすめは、薄塩味の鯨汁に、これも長岡の夏らしい辛口の梅干し(梅干しも晩夏の季語)をひとつ乗せる食べ方です。
恩田 富太(おんだ とみた)
出身:生まれ育ち現在は長岡市新組町(間に進学・就職の東京が入ります。)
所属:「新組地区長谷川泰を語る会」
特技:広告デザイン、イラストと俳句