長岡野菜は冬も熱い。
煮菜(体菜の煮物)と新米御飯のコンビネーションは、もはや長岡のソウルフードかと思われますが、冬期間がまるまる旬なのは、「大口れんこん」のブランドで全国に知られる、だるま蓮根です。美しい天然の白さと、シャキシャキの歯ごたえが特徴で、煮て、焼いて、揚げて、加工して良し。
写真は大口れんこんのレンコンチップ。筆者の愛妻が作ってくれました。妻は関東から嫁いで6年目、地元の野菜を使った得意料理が増殖中なのです。
今回は、池之島町のれんこん生産者、丸山晃康さんを訪ねました。池之島は筆者の住む新組町のお隣で、夏には一面の蓮の花が美しい、JR押切駅周辺の町です。
大口れんこんの始まりは、大正時代終わり頃。
当時の大口から池之島辺りの土地では、石油・ガスが豊富に採掘されました。そして、石油・ガスが混じる水質・土質は、稲作にはとても向かないものだったそうです。
ならば!と土地の先人たちは、だるま蓮根の栽培に挑戦。すると今度は、大変に条件が適していることが分かったのでした。
丸山晃康さんがれんこん栽培を始めたのは、既にエネルギー資源は枯れながら、まだ採掘櫓の残っていた昭和45年から。お父さんと共に働き、元々は米農家でしたが、当時の政府の減反政策に対応して転作。主な作付をだるま蓮根に切り替えて、現在はご長男と生産を続けられています。
その昔は、蓮根といえば“先の見通しが良いとされて”正月の縁起物でしたが、今は早生品種の作付もあり、年を通して農作業が続くそうです。東京築地市場での高評価などもあり、大口れんこん生産組合の売上はとても順調とのこと。
また、丸山さんの「はすたんぼ」(水量豊かな大口れんこんの畑を、地元ではこう呼ぶ。)では、ご長男が繋ぎ役となり、若手の農業団体からの農業体験を受け入れるなど、担い手の確保にも努力されています。
そういえば昨今話題なのは、蓮根に含まれるネバネバ成分の「ムチン」です。鼻や気管支の粘膜のバリアになり、風邪の症状や咳の改善に良いとも言われていますね。
旬の格別の美味しさに、寒い冬の健康のために、良いところ尽くしの大口れんこんです。
終わりには「大口れんこんサブレ」の紹介を。同じく池之島町にある、丸幸商店の看板菓子です。
丸幸さんは、地元の昭和世代には懐かしい子どもの溜り場(駄菓子やガチャガチャ)、今も地域ならではの贈答菓子が愛用される老舗です。
大口れんこんサブレには、大口れんこんと蓮の葉が練りこんであり、食感と香りに生かされています。筆者も地域外の方から評判を聞くことが何度もあり、地元の自慢の一品なのです。
このサブレ、実は何枚かに一枚の当たりがあり、中之島地域に生息する蓮根の妖精「なかのん」のイラストが!2015年の「ゆるキャラグランプリ」では 県内トップ、全国総合114位の大健闘でした。
長岡地域むすび隊
【著者プロフィール】
名前:恩田 富太(おんだ とみた)
出身:生まれ育ち現在は長岡市新組町(間に進学・就職の東京が入ります。)
所属:「新組地区長谷川泰を語る会」
特技:広告デザイン、イラストと俳句