長岡市内で活躍する、市民活動・地域活動をスタッフがピックアップしてご紹介。今回は、野積ハマボウフウ育成会さんに取材してきました。寺泊の野積海岸の砂浜には地域のチカラが注がれています。
▶どんな活動をしていますか?
寺泊地域の野積海岸の砂浜に群生する「ハマボウフウ」や「ハマナス」といった植物の保護・育成を行っています。
特に「ハマボウフウ」は、珍味として盗掘の被害に遭っていました。そのため、盗掘者を発見するためのパトロールや、盗掘を防ぐ看板の設置などを行っています。
また、「ハマボウフウ」を増やすため、時期になると種採りをして、砂浜の裸地や密度が薄い所に蒔くことで繁殖をさせています。野積海岸の約3kmをハマボウフウでいっぱいにしたいと活動しています。
▶活動を始めたきっかけ、これまでの歩みを教えてください
もともと、ハマボウフウやハマナスは昭和18年頃に「防砂」のために野積海岸に植えられるようになったそうです。ハマボウフウの根は漢方薬としても使われていたので、販売のために植えていたのかもしれません。時代とともに防砂林の松林ができたり、漢方薬としての需要がなくなるなどハマボウフウを育成するという取り組みはなくなり、地元でも誰も気に留めない植物になっていました。
そんな中、ハマボウフウが春先の新芽は食用となるため乱獲されて絶滅の危機にあると知ったメンバーが、地域の宝を守ろうとパトロールをはじめたのがきっかけです。平成22年の活動開始以来、「野積海岸3kmをハマボウフウの白い花でいっぱいにしたい」と保護と育成の活動を続けています。
▶どんなメンバーで活動しているのでしょうか?
会員は約30名。地元・野積のメンバーが中心に活動しています。種採りなどのイベントには地域外からも人が集まります。
▶活動を続けてきたことでの成果や、やりがいなどを教えてください
パトロールや看板の設置などの効果で、年々盗掘している人は減ってきました。種まきも続け、野積の海岸では全国に誇れるくらいハマボウフウが育っています。おかげで宮城県名取市や北海道石狩など、ハマボウフウやハマナスが少なくなってきてこれから育成したいという県外の地域に野積から「種」を送ってあげるまでになっています。
中には「お金をもらってやっているのではないか」と言ってくる方もいますが、誰に頼まれたわけでもなく、自分達が好きでやっています。だからこそ、楽しんで続けていけているのだと思います。保護育成に頑張っているおかげか、春先になんと野生のトキが応援に来てくれ、「こんなご褒美がもらえるんだなぁ」とうれしかったです。
▶今後の活動を教えてください
あと2、3年で野積海岸はハマボウフウでいっぱいになるんじゃないかと思います。海岸に咲くハマボウフウと奥に見える弥彦山をバックにして写真を撮りたいです。
また全国でハマボウフウを保全するサミットがあり、そこでは特産品として活用している地域もあると知りました。会長が「俺の目の黒いうちは食べさせない(笑)」と言っていますが、いずれそういう方向も検討していくかもしれません。野積の宝、浜の宝としてこれからも守り育てていきたいと思います。
野積ハマボウフウ育成会は、らこって2016年11月号に掲載されています。