長岡市内で活躍する、市民活動・地域活動をスタッフがピックアップしてご紹介。今回は、地元小中学生が武者行列に参加することで、郷土に愛着を持ってもらおうと取り組む、栃尾謙信公奉賛会を訪ねました。
▶どんなことをしている団体ですか?
毎年9月第3日曜日に「とちお謙信公祭」という祭りを開催しています。栃尾は戦国時代の武将「上杉謙信公」が14歳から6年間を過ごした地。その謙信公の遺徳を偲ぼうと、市民茶会、読経・献茶・剣舞などの祭典をしています。
メイン行事の一つ「武者行列」では、地元の小学生が「長尾景虎童子隊」として、甲冑姿でまちを練り歩き、演武を披露しています。また、2016年度からは中学生も槍隊として参加してもらいました。子ども主体の行列をすることで、地元の歴史に親しむ機会になってくれればと思い活動しています。
別に大きな事業として、小中学生の謙信公祭剣道大会、小学生の謙信公祭柔道大会も行っています。
▶活動を始めたきっかけ、これまでの歩みを教えてください
謙信公祭のルーツは、明治41年(1908年)に今で言う青年団である「親睦会・青年業余会」の若手が中心となり、上杉謙信公をたたえ地域を盛り上げようと始めた「謙信公祭」です。戦争での中断がありましたが、昭和41年から地元の有志たちが「とちお謙信公祭」として祭りを復活させました。昭和43年には祭りを運営する「謙信公奉賛会」を立ち上げ祭りを続け、2017年度には再開してから50回目を迎えます。
もともとは大人たちが行う式典が中心のお祭りでしたが、平成21年から「謙信公が栃尾にいた頃は“長尾景虎”時代なので、子供達に入ってもらわなければ」と、子供達を武者行列に加えました。
毎回20名の子供達には甲冑を身に着けて演武をしてもらうのですが、事前に練習が必要です。「栃尾剣道連盟」「栃尾柔道倶楽部」「栃尾少林寺拳法協会」に協力いただき、道場に通う子ども達に実際に甲冑をつけて道場で練習をしてもらってから本番に望んでいます。
▶どんなメンバーで活動しているのでしょうか?
謙信公奉賛会は会員215名ほどに会費を提供してもらい、更に特別の協賛会員が40名ほどです。地元も面々が祭りを続けていこうと賛同してくれて運営している市民手作りの祭りです。
祭りを始めてから、有志が「栃尾衆鉄砲隊」を結成したり、「栃尾謙信太鼓」という団体が協力してくれたり、県外からも参加してくれる会があったりと、祭りを通じてつながりが育まれてきました。
▶活動が継続するポイントを教えてください
資金面はいつも苦労します。ただ、「観光客向けのイベント」に走らず、「子どもを育てるための行事」と位置づけてやっています。なので、無理に外から人を呼ぼうと背伸びをして主催側の負担が大きくなりすぎてしまうようなことは避けています。
子ども達が郷土に愛着を持ってもらうのが一番だと思います。
▶今後の活動を教えてください
2016年度から新たに「義の元服式」という行事を、長岡市の地域の宝磨き上げ事業として新たにスタートさせてもらいました。これは、謙信公が元服した14歳と同じ年齢になる栃尾地域の秋葉中学校と刈谷田中学校の2年生が全員参加して、元服式を体験してもらい、ふるさとへの誇りと愛着を持ってもらおうと企画したものです。謙信公の「義の心」についての講話、座禅体験、そして元服式をするという内容になります。最後に「参加の証」を額と一緒にお渡しして記念にしてもらいます。これからの栃尾の子ども達みんながこの行事を体験して、世代を超えて共通の思い出になってくれればと思っています。
地域の歴史を未来につなぐ 栃尾謙信公奉賛会は、らこって2016年12月号に掲載されています。