2016.12.15

仮設住宅暮らしの経験がつなぐ交流の輪 とちお同住会 【栃尾地域】

長岡市内で活躍する、市民活動・地域活動をスタッフがピックアップしてご紹介。今回は、とちお同住会を訪ねました。中越大震災の被害を受け、仮設住宅で生活を共にしたことからスタートし、震災から12年が経った現在も活動が続いています。活動から広がる輪と深まる絆がありました。

 

 

▶どんなことをしている団体ですか?

中越沖地震での被害のあった地域をはじめ、能登半島地震、そして東北大震災など県内外の被災地で炊き出しや交流活動を行っています。東北には20回以上行きました。現在は主に南三陸町の方々と、交流をしていて、長岡まつりでは一緒にホタテ販売もしています。交流の継続のため年に一回、機会をしぼって、相互訪問をしています。

南三陸町産業フェア出店②

 

▶活動を始めたきっかけ、これまでの歩みを教えてください

中越大震災で「応急仮設住宅」に入居した69世帯で、花植えや、共同菜園の管理などを通して住民同士のコミュニティーづくりに取り組んできました。関係が築けたことで、平成19年の全員退去の時に、ばらばらになっても、会いたくなった時に会えるようにと、みんなとの再会を願い仮設住宅同住会を発足しました。そして同年に起きた中越沖地震の被災地で炊き出しを行ったことをきっかけに、中越大震災の時に全国から届いた支援への恩返しを目的に「とちお同住会」と改め活動を開始しました。

 

▶名物メニューがあると聞きましたが、どんなものなのでしょうか

「あげ♂アゲ♂揚げ」という、おからを使った揚げ物です。鶏のから揚げのような感じです。下向きにならず、気持ちを上げて行こう!という願いを込めて作っています。被災地での炊き出しもそうですし、栃尾地域でのイベントでも提供しています。料理上手なメンバーが考えてくれました。栃尾にはおからがたくさんあるので使わない手はないですし、地域外の方も喜んでくれます。

 

▶どんなメンバーで活動しているのでしょうか?

中越大震災で「応急仮設住宅」に入居した69世帯の205名で立ち上げました。発足から9年目となった現在は、15世帯ほどの方が主に活動しています。

震災から12年が過ぎ、メンバーの住まいも様々。新潟市で暮らす会員もいます。

 

▶大変だったことや、やってきてよかったことなどを教えてください

東日本大震災の被災地へ何度も通ってきました。距離があるため、先のことを考え継続的に関わり続けられるように、年に1回ずつお互いに行き来することにしています。交流する中で、栃尾の山の暮らしと、南三陸の海辺の暮らしの文化交流のような側面もあります。出会いの記念に、両地域の苗木を贈り合ったりもしました。今では、「ただいま!」「おかえり!」と声を掛け合い、親戚のように行き来しています。

復興祈念植樹①

 

千野(栃尾)、後藤(神割崎)

 

▶今後の活動を教えてください

中越大震災を経験し、計り知れないほど多くのものを失いました。でも活動を通してたくさんの人たちと出会うことで、今では失ったもの以上にたくさんのものを受け取りました。心を通わせ、継続した交流を大事にした活動に共感し、入会してくれる人も出てきています。今後も新メンバーを集いながら活動を継続していきたいです。

とちお同住会 - コピー

 

 

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仮設住宅暮らしの経験がつなぐ交流の輪 とちお同住会は、らこって2016年12月号に掲載されています。