地域外から若者(学生)を受け入れるポイントは…“教える×学ぶ”関係性と“1対多”の場づくり
公益社団法人 中越防災安全推進機構 ムラビト・デザインセンター
チーフコーディネーター 金子知也さん
私たちは、2012年に都市部の若い人たちと中越地域の農村地域を結ぶ『イナカレッジ』という活動を立ち上げました。地域の活動団体やNPO、農業生産法人などが受け皿となって、都会からやってきた20代・30代の若者が地域の仕事や暮らしを学ぶインターンシップを行っています。主に1か月・1年という2種類の期間のプログラムを通じて、これまで100人以上の若者を受け入れてきました。
実際にイナカレッジを通じて若い人材を受け入れた地域では、明らかに地域の中の雰囲気が変わっています。最近ではインターンが終わってそのまま地域に定住する人たちがたくさん見られるようになり、移住者が増えたことで空き家が無くなった地域もあるほどです。
私たちがこのイナカレッジの活動で大切にしていることは、次の2つです。①地域の皆さんが農村に伝わる仕事や暮らしを教えていただき、それを都会から来た若者が学ぶ“教える×学ぶ”の関係性づくり、②一人の若者に対して、たくさんの人たちが関わる“1対大勢”の受入体制づくり。
意外に思うかもしれませんが、若い人たちが農村に定住する理由は、「仕事があるから」「家があるから」ではないんです。地域の皆さんの背中を見て『こういう大人になりたい』『こういう暮らしがしたい』『一緒に地域のために活動したい』のどれかです。
だから私たちは、地域の皆さんと外からやってきた若い人たちが一緒に汗を流しながら活動することで、地域に共感してくれる若者を育てていくことが大切だと思います。そして、そんな若者が様々なことにチャレンジできるフィールドが地域の中に必要だと考えています。
「若い人たちと一緒に活動したい」「若者に移住してほしい」など、私たちイナカレッジにも様々な要望が寄せられます。もちろん、若者と一緒に取り組む企画を考えたり、そこから新たなつながりを作ったり…ということも大切ですが、まずは活動をされている皆さん自身が、楽しく盛り上がっている姿を発信することが何よりも大事です。だって、楽しそうじゃないところに人は集まりませんよね?