市民活動に取り組む団体には、状況を整理して舵取りをする人、実行部隊として目的を着実に遂行するのが得意な人、ユーモアでみんなを和ませるムードメーカー、ピンチの時には、スポット的に手を貸してくれる存在も現れたりと、色々な人が関わって成り立っていることが多くあります。
それぞれの人たちが、自分の生活の中で活動に充てられる時間や能力を提供し、様々な形で関わっています。
では、実際にどんな人が、どのように活動に関わっているのでしょうか。
活動を支えている「あの人」を訪ね、活動の実際のところをアレコレ伺ってきました。
今回ご紹介するのは、ボランティア歴28年のお母さん、菊地 湛(きよ)さんです!
水泳教室ボランティア歴28年!
頑張りすぎないことと楽しむことに秘訣あり
菊地 湛(きよ)さん 〈76歳/専業主婦〉 スイム・リーダー愛
障害者を対象にプールで泳いだり水中運動をしたりする教室を行う「スイム・リーダー愛」は活動を始めて28年。15年間、団体を引っ張ってきた2代目代表の菊地湛さんは、初めは母団体「長岡婦人水泳クラブ」のメンバーのひとりに過ぎませんでしたが、団体設立時に初代代表から協力を求められたことを機に参画。「当時は泳ぐのも得意ではなく心配もありました。それでも加わることを決めたのは、私に声を掛けてくれたことが嬉しかったから」。
▲右三人が現在のスイム・リーダー愛のメンバー。左端は初代代表の大野さん。
生徒が出場する水泳大会にみんなで応援に駆け付けたり、バーベキューや旅行等が定期的に行われるなど、プール内外で仲の良い「スイム・リーダー愛」のみなさん。年齢や障害の有無に関わらず、楽しいこと、ワクワクすることを共有しあえる仲間だからこそ気が付けば長く活動を続けられたそう。「今となってはまるで親戚のような間柄ですが、この活動がなければ出会わなかったかもしれない大切な繋がりです」。
▲毎年恒例の国営越後丘陵公園で行うバーベキュー。生徒と先生の関係ではなく、友人のひとりとして日常的に親睦を深めています。
数十年にもわたって活動継続できる市民団体はごくわずか。菊地さん曰く、当団体がこれほど長く続けられた理由は「活動の継続」にこだわらなかったこと。「私たちはあくまでも市民の集まりなので、無理のない範囲で、気負い過ぎないことを意識しています。結果的に今日まで続けられたのは、周囲に恵まれてサポートして頂いていたから」。その言葉の通り、菊地さんが平成30年度末を目途に団体を退くことを決めた際も、これまで担っていた事務作業を「引き継ぎたい」との声が生徒やその保護者の方々から上がり「これで安心してバトンタッチができる」と思わず安堵。頑張りすぎず周囲と手を取り合うこと、そして何よりも当事者が楽しむことが、長く続く活動の秘訣なのかもしれませんね。
▲緑綬褒章を受章した際の菊地さん。「続けてきてよかった」と思った瞬間です。