市民活動に取り組む団体には、状況を整理して舵取りをする人、実行部隊として目的を着実に遂行するのが得意な人、ユーモアでみんなを和ませるムードメーカー、ピンチの時には、スポット的に手を貸してくれる存在も現れたりと、色々な人が関わって成り立っていることが多くあります。
それぞれの人たちが、自分の生活の中で活動に充てられる時間や能力を提供し、様々な形で関わっています。
では、実際にどんな人が、どのように活動に関わっているのでしょうか。
活動を支えている「あの人」を訪ね、活動の実際のところをアレコレ伺ってきました。
今回ご紹介するのは、子どもたちの心の成長を見守るミュージカル講師、小杉佐智子さんです!
演劇を通して自分を表現する楽しさを次世代へ
子どもたちの殻を破るきっかけづくり
小杉佐智子さん 〈55歳/英語講師〉 リリック・ジュニア・ミュージカル地域講師、長岡おやこ劇場代表
小杉佐智子さんは英語講師のかたわら、演劇を通じた自己表現を子どもたちに広める活動を10年以上続けています。
子どもの頃は大人しく、自分をうまく表現できなかった小杉さん。「高校時代にたまたま勧誘を受け演劇部の公演を観たとき、先輩たちの一生懸命自分を表現している姿がとても眩しく、羨ましく思いました」。演劇部に入部すると、演劇を通じて自分を表現する楽しさを知りました。さらに「長岡市民劇場」で観たプロの演劇からもたくさん刺激を受けたそう。
その後、演劇から少し離れていた24歳のとき、たまたま市民有志で行う舞台に参加。演劇の魅力を再確認し、改めて演劇に関わっていくことを決めました。親子劇団に加入し演劇を楽しむだけでなく、平成16年より子どもたちがプロから演劇を学び披露する(公財)長岡市芸術文化振興財団主催の「リリック・ジュニア・ミュージカル」の地域講師に就任。
▲「リリック・ジュニア・ミュージカル」での練習風景。プロから学んだことの復習などを教えています。
「初めは恥ずかしがり屋で全然声も出せなかった子が自信を持ち、活き活きと演じている姿を見ると嬉しくなります。練習を通して学校とは違う人間関係が出来るのもいいことだと思います」。また、「長岡おやこ劇場」で“観る体験”も大事にしている小杉さん。「大人の真剣な姿を生で観られることは、テレビとは違うものが伝わると思っています。大変ですが子どもたちが観る機会は減らしたくないですね」。
▲「長岡おやこ劇場」のメンバーで行ったキャンプ。演劇以外にも子ども同士が楽しめるよう企画しています。
小杉さんがここまで続けてこられたのは、子どもたちの心の成長をたくさん見てこられたから。「演劇を通じて、表現する楽しさや周りと協力する楽しさを知り、自分の殻を破るきっかけをこれからも与えていけたらいいなと思っています。
▲見附市の親子劇団に加入していた頃の娘さんとの一枚。「娘と練習の帰り道、演技のことで喧嘩することもありましたが楽しい時間でした」。