2019.01.08

地域をよくするウワサのあの人にインタビュー!【山本 一成 さん】

市民活動に取り組む団体には、状況を整理して舵取りをする人、実行部隊として目的を着実に遂行するのが得意な人、ユーモアでみんなを和ませるムードメーカー、ピンチの時には、スポット的に手を貸してくれる存在も現れたりと、色々な人が関わって成り立っていることが多くあります。

それぞれの人たちが、自分の生活の中で活動に充てられる時間や能力を提供し、様々な形で関わっています。

では、実際にどんな人が、どのように活動に関わっているのでしょうか。
活動を支えている「あの人」を訪ね、活動の実際のところをアレコレ伺ってきました。

 

今回ご紹介するのは、ふるさとの偉人に光を当てる地域伝承人、山本一成さんです!

 

未来につなげるふるさとの価値
歴史は“今”つくるもの

山本一成さん 〈71歳/元仏師〉 ふる里伝え隊

 

中之島地域の偉人ゆかりの品を収集し、次世代に伝えようと活動する「ふる里伝え隊」。この会の代表を務める山本一成さんは、33歳の時に、生業としてきた農家から得意な絵を仕事にしようと仏師に転身。そして60歳を迎えたのを機に、仕事を長男に任せ、地域活動に取り組みはじめました。「中之島で暮らし続け、仕事でも地域に支えられてやって来ました。それで、60歳になったら地域に恩返ししたいと思っていました」。そんな気持ちに加え、合併で長岡市となったことで中之島地域の歴史が埋もれ、特性が薄れていくことへの危機感から山本さんがまず所属したのは中之島郷土史研究会。この会で仲間との出会いや、日本史の表舞台には出てこなくとも地域に尽くした偉人たちの存在に触れました。

▲2017年10月には「アオーレに中之島の風が吹く」と題した中之島地域の偉人17人を紹介する展示を開催。地域内外から2週間で800名近くの来場がありました。

そんな中で、明治29年の横田切れの大水害で苦難に喘ぐ住民を救おうと、大河津分水の建設に尽力した高橋竹之介の遺族から、遺品をまちおこしに役立てたいと相談を受けました。「骨董品として値は付かなくとも、地域の歴史を知る上では展示する価値のある貴重な品々だと思っています」。そんな思いから、山本さんは遺品を引き取り地域内の集まりの場である公会堂2階に「高橋竹之介展示館」を設置。みんなから見てもらえる機会を設けました。この取り組みを通して、「地域の歴史と密接に結びついた遺品の数々は、未来につながるふるさとの宝物だということ」を実感しました。

 

平成23年にふる里伝え隊を立ち上げてからは、講演会や展示会、DVD制作などを精力的に行い、子どもから大人まで多くの人に郷土史に触れ
てもらえるよう取り組んでいます。「自分たちに一番身近な地域の偉人を掘り起こし伝えていくことで、子どもたちに自分の未来への可能性を感じてほしいです」。偉人を通してふるさとの歴史に光を当てる山本さん。これからも地域への誇りを育んでいきます。

 

▲最近山本さんが熱心に取り組んでいるのは、石の凹凸を活かして動物を描く「石アート」。70歳を迎えたこれからは、絵画技術を活かした表現活動にも力を入れていきたいそう。

 

▲「地域づくりはまず家庭から」という気持ちで中之島の景色や文化をお孫さんに伝えています。