市民活動に取り組む団体には、状況を整理して舵取りをする人、実行部隊として目的を着実に遂行するのが得意な人、ユーモアでみんなを和ませるムードメーカー、ピンチの時には、スポット的に手を貸してくれる存在も現れたりと、色々な人が関わって成り立っていることが多くあります。
それぞれの人たちが、自分の生活の中で活動に充てられる時間や能力を提供し、様々な形で関わっています。
では、実際にどんな人が、どのように活動に関わっているのでしょうか。
活動を支えている「あの人」を訪ね、活動の実際のところをアレコレ伺ってきました。
今回ご紹介するのは、イベント運営のサポートで実践を積むデザイナーの卵、綿引沙南さんです!
実践を通して社会人を模擬体験!
地域で活動することで新たな自分が見えてくる
綿引沙南さん 〈20歳/大学生〉 地域イベントボランティア
長岡造形大学3年生でグラフィックデザインを学ぶ綿引沙南さんは、音楽イベントの音響サポートや、市民活動フェスタと大学生の橋渡し役、米百俵フェスTシャツプロジェクトなど地域活動にも積極的に取り組んでいます。綿引さんが活動をはじめたのは、1年生の時に受けた友人の誘いがきっかけです。当時、イベント運営に興味があった綿引さんは仕事体験として、花いっぱいフェアの一角で子ども向けの缶バッジづくりを企画運営しました。「子どもたちのハサミの技術に思ったより差があり、用意していた形をその場で変更したこともありました。子どもと一口に言っても、どんどん自分でつくりだす子や、受け身な子など、みんな個性的。実践の場を持ってみたことで多くの気付きがありました」。
▲大学生になってからは一人旅に出掛けている綿引さん。2週間の韓国留学も経験。自身の興味関心ごとを深めるべく国内外に出掛けています。思い切って行動していくことで新たな発見があります
また、「アールブリュット展」※では、福祉施設の職員からなる実行委員会に混ざり、会場設営と会期中の会場案内を担当。「展示作品に刺激を受けたことはもちろんですが、運営方法にも発見がありました。作品に応じて展示方法を試行錯誤し、必要なものがあれば買い出しに走るなど、みんなでつくりあげている様を目の当たりにしたんです。みんなでアイディアを出し合い、みんなでつくり上げることの面白さとパワーを体感する機会でした」。長岡のまちで、多様な人との交わりを通して、経験を重ねている真っ最中の綿引さん。「活動を通して、多様な個性があっていいことを知ることができ、自分らしい作品づくりにチャレンジしていきたい気持ちが湧いてきました。同時に、みんなで
一緒に何かをつくりあげる機会も増やしていきたいと思っています」。
▲「アールブリュット展」※の設営を手伝ったときの1コマ。地域活動を通してイベント運営に関わることは、美術館などで作品を鑑賞することでは得られない体験です。誰かのチカラになれる喜びや、自身の創作意欲にも刺激になってます。
※文化的な伝統や流行、教育などにとらわれずに、独自の発想と方法により制作した作品の展示会
▲綿引さんが制作した画びょうを使った作品。