市民活動に取り組む団体には、状況を整理して舵取りをする人、実行部隊として目的を着実に遂行するのが得意な人、ユーモアでみんなを和ませるムードメーカー、ピンチの時には、スポット的に手を貸してくれる存在も現れたりと、色々な人が関わって成り立っていることが多くあります。
それぞれの人たちが、自分の生活の中で活動に充てられる時間や能力を提供し、様々な形で関わっています。
では、実際にどんな人が、どのように活動に関わっているのでしょうか。
活動を支えている「あの人」を訪ね、活動の実際のところをアレコレ伺ってきました。
今回ご紹介するのは、太鼓を通した地域貢献に取り組む21歳、坂牧 颯人さんです!
太鼓で出来ることはもっとある
「太鼓×地域貢献」の挑戦
坂牧颯人さん 〈21歳/会社員〉 山古志闘牛太鼓会、太鼓指導者
得意の太鼓を活かして、生まれ育った山古志の地域貢献に取り組む坂牧颯人さん。太鼓との出会いは小学生のころ。中越地震の避難先で聴いた太鼓芸能集団「鼓童」の公演に衝撃を受け、太鼓の演者を志しました。高校を卒業すると佐渡の地で鼓童研修生として厳しい稽古に励みましたが、鼓童メンバーとなる夢は惜しくも叶わず。その後は「私の故郷として、いつかは戻りたかった」と思い抱いていた山古志へ帰郷。宿泊施設「あまやち会館」や「古志高原スキー場」で働きながら、「自分の出来ることで地域貢献したい」と、あまやち会館の利用者に「送り太鼓」を披露したり、自身も所属していた山古志闘牛太鼓会で子どもに太鼓の指導をするなど、太鼓を通した様々な形の地域貢献にチャレンジしています。
▲「あまやち会館」にて、送り太鼓で利用者を見送る坂牧さん。山古志でいい思い出を作ってもらいたいとの気持ちから自主的に始めました。
佐渡では代々と守り育ててきた地域の伝統芸能が、今や一大観光資源であると同時に、地域住民の誇りともなっている様子を目の当たりにした坂牧さん。その経験から、芸能に欠かせない太鼓技術を地域住民に継承する指導者となることを目指すようにもなりました。「地域の芸能は地域の人で残さなければ。太鼓を入り口として、芸能を『カッコいい』と思う子どもを増やしたい」。
▲自身も小学生のころから高校生まで所属していた山古志闘牛太鼓会。今でも演奏のサポートや技術指導で関わり続けています
Uターンして、地域づくり活動や魅力向上に取り組む人材や団体は山古志にも多数いると気付いた坂牧さん。自らは地域外の人々と山古志の橋渡し役を担いたいと意気込みます。「太鼓を通して多くの人が山古志に足を運ぶきっかけを作りたい。また、外からのリアクションを得ることで、私たちも気付いていなかった山古志の魅力を知ることもあると思います」。
人を呼び込む起爆剤として、伝統継承のツールとして…。太鼓を中心に今後はどんな展開が生まれるのでしょうか。
▲宿泊施設に加え、冬季はスキー場でも働く坂牧さん。それらと太鼓を組み合わせ、地域内外の人の流れ・交流を生み出すことを画策中です。