2020.07.28

企業内の活動から生まれた、市民同士のつながりの輪|西脇美智子さん【インタビュー】

市民活動に取り組む団体は、状況を整理して舵取りをする人、実行部隊として目的を着実に遂行するのが得意な人、ピンチの時にはスポット的に手を貸してくれる存在も現れたりと、色々な人が関わって成り立っています。それぞれの人たちが、自分の生活の中で活動に充てられる時間や能力を提供し、様々な形で関わっています。では、実際にどんな人がどのように活動に関わっているのでしょうか。活動を支えている「あの人」を訪ね、活動の実際のところをアレコレ伺ってきました。

 

今回ご紹介するのは、“日本酒、お茶、正真正銘の飲み会担当”西脇美智子さんです!

 


西脇美智子さん
茶道文化協会、長岡商工会議所女性会ほか
1954年旧長岡市生まれ。会社員から専業主婦、役場臨時職員を経て酒造会社に転職し、昨年末に退職。様々な立場で市民活動に関わっている。


 

企業内の活動から生まれた、市民同士のつながりの輪|西脇美智子さん

 

2012年に長岡市市民協働条例が作られた際に条例検討委員の一員だった西脇美智子さんは「市民同士のつながりがはぐくむ豊かな暮らし」を長年実践してきたフロントランナーです。

子育てが一段落した後、越路町役場(当時)を経て、旭酒造株式会社に入社。「同社では、周辺地域住民とともに自然環境保護や文化活動などに取り組んできました。その経験を活かしながら、企業人として、また一市民として多くの市民活動に携わるようになちました」。

現在、事務局長を務める茶道文化協会もそのひとつ。「お茶のたしなみには、和文化の総合芸術としての一面や日本人が大切にしたい精神性が込められており、この文化を継承していくためには、流派を越えた活動が必要」と、茶道を気軽に体験してもらうイベントや、子どもたちへの体験活動など、茶道文化の受け皿の拡大などに取り組んでいます。実は、この活動の起源は朝日酒造時代の西脇さんの担当企画にありました。「同社所有の『松籟閣』や、もみじ園にある『巴ヶ丘山荘』を使った茶会などを企画していました。ただ、企業に文化活動を任せていては活動を持続可能なものにはできません。そこで、有志を募り協会を立ち上げ、市民自らが文化活動を続けていける体制を作ったんです」。


▲親子和菓子作り体験と茶道体験。未来を担う子どもたちの日常にお茶文化を感じてもらいたいと毎年行っている。


茶道は複数の流派が存在するため、共に活動するには難しい部分もあります。「団体を取りまとめる上では、慎重論や反対の立場をとる方もいます。そういった意見も含めて、お互いに配慮しすぎることなく、認め合い、継承への道筋を考えていくことができれば、良い方向に向かうと気づきました」と、協働の理念を体現し活動しています。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、思うような活動が出来ていない中でも「大好きな日本酒も家飲みで我慢しています(笑)。こんな状況だからこそ文化的な活動を大切にしていきたいです」と明るく語ってくれました。

 


本記事は、らこって2020年7月号でご紹介しています。