地域をよくするウワサのあの人にインタビュー!毎月、市民活動に取り組むプレイヤーをご紹介。活動に関わったきっかけや、どんな役目を果たしているのか伺う中で、活動への多様な関わり方が見えてきました。
人の心に寄り添い
困ったときに助け合える場づくり
吉原 祐子さん
48歳/助産師/産後ケアハウス ねんねこ
1973年佐渡市生まれ。就職を機に上京。子育ては田舎でしたいという想いから2011年より夫の出身地の長岡で暮らしている。
家庭に帰ってきたような温かい雰囲気がある民間施設の「産後ケアハウスねんねこ」で、妊婦さんや産後ママの悩みを聞いたり赤ちゃんの育児相談に携わったりしている吉原祐子さん。看護学校に入学後、人の健康をサポートする看護の面白さに目覚め、母子の健康維持と育児支援を深く学ぶため助産師の道に進みました。「看護や助産の仕事は体のケアに加えて、人の心に寄り添えることにやりがいを感じました」。
助産師の仕事をしながら自身も出産と育児を経験していく中で、社会から取り残されたような孤独感を抱きながら、助けを求められずに一人で悩みを抱え込んでしまうママが多くいるということに気づき、困ったときに助けを求められる場所が地域にあることの重要性を感じたそう。そこで関わったのが、長岡市が運営する妊産婦が出産や育児の悩みを相談できる「産後デイケアる~む『ままリラ』」でした。「地域のニーズもあり利用者が増える一方、もっと一人ひとりに寄り添い、時間をかけて対応したい」という想いから2018年にねんねこを立ち上げました。
ねんねこでは、産後ママへの個別相談のほか、2021年度からは子どもの一時預かりを開始。新規事業を始めることができたのは活動や想いに共感してくれるサポーターが増えたことが大きいそうです。「育児中でサポートが必要な方に利用してもらうためにSNSなどで情報発信をしていたところ、困っているお母さんの力になりたい人からの反響が多くありました。そのような人たちに支えられて活動を広げられています」。今では相談に来られたお母さんたち自ら、子ども服の寄付や産後ケア体操などのイベントをすることも増えてきたそうです。
活動で大切にしているのは、声のかけ方やちょっとした表情の違いを読み取りながら信頼関係を築いていくこと。「育児中のママが笑顔でいられるように、いつ来てもリラックスできる場所をみんなでつくっていきたいです」。受けた優しさを次の人へ返す。そんな素敵な関係が今後も広がっていくことでしょう。
本記事は、らこって2021年12月号でご紹介しています。