2022.12.23

チェロが気づかせた、音楽で地域に関わること | 片野大輔さん

地域をよくするウワサのあの人にインタビュー!毎月、市民活動に取り組むプレイヤーをご紹介。活動に関わったきっかけや、どんな役目を果たしているのか伺う中で、活動への多様な関わり方が見えてきました。

チェロが気づかせた、音楽で地域に関わること

片野大輔さん
48歳/演奏家・音楽講師。アンサンブル・オビリー
1974年長岡市生まれ。音楽一家の元で育ち、幼少期からチェロを習う。

プロのチェロ奏者である片野大輔さんは、新潟県内を中心に演奏会を精力的に開催。また、オーケストラや音楽教室、高校で指導に当たるなど、地域の音楽文化振興にも力を入れています。

高校卒業後、国内外の多くの音楽家に師事し、プロの演奏家を志していた片野さん。そんなある日、父親が急逝。独り身となった母を気遣い長岡へ帰ることを決めました。当時はチェロ一筋の生活をしていたため、帰郷後しばらくはそれまでの経験を役立てられるような望みも持てず、不安な日々を過ごしていました。

その時に声をかけてくれたのは、亡き父の同級生の方々でした。自身も同じ高校に通っていたことも縁となり、地元オーケストラとの共演や大小さまざまな演奏会など、多くの機会を用意してくれたのです。

次第に演奏家としてだけでなく、講師や事業の企画、演者や進行の調整役などの求めにも応じるようになり、音楽関連の分野でその力を幅広く発揮できるようになりました。「長岡のような地方都市では演奏家としてだけで生きていく事は容易ではありません。私は運良く色々な頼まれごとをいただき、それに何とか応えてきたことが、いつしか自分の強みとなっていったのかも知れません」。

特に今やりがいを感じているのが、子どもたちとの関わり。学校に出向き、プロの音楽家とのふれあいを通して音楽への関心を深め、感性を育む、普段の授業とは異なる体験の提供に力を入れています。「無気力にも見えた彼らが、音を聴いたり楽器に触れた時に、ぱっと生き生きした表情に変わる瞬間を見ると、音楽には人の心に届く力があるのだと感じます」。

「チェロ奏者を志した当初の想いとは異なる道を歩んでいるかもしれません。しかし今では演奏だけでなく、異なる立場の方々と協働しあう中で地域の文化振興に関われていることに誇りを感じています。将来を担う子どもたちには、音楽に限らず、自分が打ち込める何かを見つけて育ってほしいと願っています」。

本物の楽器と舞台で、本格的な音楽の体験をしてもらう取り組みも。


本記事は、らこって2022年12月号でご紹介しています。

つながるラジオ(FMながおか)2022年11月28日(月)でも、片野大輔さんをご紹介しました。