2023.01.18

誰もが希望する教育を受けられる社会へ|公益財団法人 長岡社【長岡みんなのSDGs】

長岡市内でSDGsに取り組む方たちを訪問!
今回は、『公益財団法人 長岡社』さんにお話を伺いました。


◆貴団体の概要を教えてください


かつて「米百俵」の精神をもとに、人材育成のための国漢学校を創設した小林虎三郎については長岡人であればだれでも知っていると思います。
その思いを継承した弟の小林雄七郎の提唱により明治8年に全国に先駆けて設立されたのが、郷土の若者の育成を目指した育英団体「長岡社」です。設立当初は東京で学ぶ若者を支援するため学費を貸与する奨学事業を行っていました。奨学生の中には郷土の誇りである山本五十六連合艦隊司令長官もおりました。その山本五十六氏が東京での学生寮の必要性を唱え、のちにその意志をついで戦後の世情の落ち着きを見て田村文吉氏(当時参議院議員)が中心となり、長岡ゆかりの人たちに働きかけて寮建設のための寄付金を募りました。その結果、昭和32年に長岡出身の大学生のための「長岡育英寮」が東京都武蔵野市に建設されました。以後長岡社の育英事業の考え方の趣旨に賛同される多くの企業、篤志家、卒寮生の方々の浄財を仰ぎ運営を行っています。今までに300人を超える学生が卒寮しました。
長岡育英寮は鉄筋コンクリート3階建てで平成11年には大規模改修を行い、平成27年には関係の方々から寄付金を募り、耐震補強の工事を行い東京都の耐震審査をクリアしています。
公益財団法人長岡社は理事、評議員16名が長岡育英寮の施設管理や入寮生の生活管理、入寮希望者の選考、運営資金管理などの多岐にわたる業務を全員で役割分担しながら適正な運営管理を行っています。

取り組んでいるSDGsの目標と、取り組みの内容を教えてください。

「①貧困をなくそう」、「④質の高い教育をみんなに」、「➉人や国の不平等をなくそう」に取り組んでいます。
高い志や向上心がありながらも、経済的な困窮が理由で大学進学を躊躇している人に対して、進学をあきらめることなく高い教育を平等に学び、将来、地元や国の発展に貢献できる有為の人を一人でも多く輩出するため、月35,000円(水道光熱費込み)の寮費で生活する場を提供します。入寮時には入寮保証金2万円(退寮時返還)のみで、敷金、礼金、仲介料は不要です。

取り組みを始めたきっかけと、これまでの経緯を教えてください。

長岡社は設立から140年以上経過しており、当団体の主体事業である育英事業を始めたきっかけは1の概要で述べたように米百俵の精神を継承し、郷土長岡や国の発展に寄与する人材を育てることを目指して、東京での学生寮の運営に取り組んでいます。
長岡社創立以来、奨学金貸与から学生寮の運営と事業形態は変わりましたが、東京での学生寮運営事業を通じて郷土長岡に貢献するとともに、先人たちの想いや理念を継承し、次の世代へバトンタッチしていくことが私たちの使命と考えています。

周囲の反応や、取り組んでいてよかったことまたは大変だったことを教えてください。

長岡育英寮は入寮生の自治で運営されていますが、月に何度かは寮長や理事、評議員が訪れ、入寮生の悩みや困りごとの相談に乗ったりしており、離れている親御さんなど保護者の方も安心されているようです。
また、最近はコロナ禍の影響もあり実施できていませんがOB会と称して、長岡で親睦会を行い先輩後輩みずいらずで懐かしい寮生活の思い出話に花を咲かせたりしています。
一方大変だったこととしては、耐震工事の資金集めでした。卒寮生名簿で所在の明らかな方々に支援の依頼をしたり、日ごろから支援をいただいている企業に出向き資金援助のお願いに駆け回りました。

◆貴団体の取り組みを通して、2030年にどのような社会をつくりたいですか。

経済的な理由で大学進学をあきらめざるを得ないような社会から脱却し、誰もが希望する勉強ができるような社会になっているといいですね。
現在、政府もいわゆる「出世払い型奨学金制度」の導入を検討しているようです。この制度が始まれば授業料はとりあえず心配しなくてもよくなりますが生活費は掛かります。そういった環境下で私たち長岡育英寮の果たす役割はさらに大きなものとなるだろうと考えています。



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