市民活動に取り組む団体は、状況を整理して舵取りをする人、実行部隊として目的を着実に遂行するのが得意な人、ピンチの時にはスポット的に手を貸してくれる存在も現れたりと、色々な人が関わって成り立っています。それぞれの人たちが、自分の生活の中で活動に充てられる時間や能力を提供し、様々な形で関わっています。では、実際にどんな人がどのように活動に関わっているのでしょうか。活動を支えている「あの人」を訪ね、活動の実際のところをアレコレ伺ってきました。
今回ご紹介するのは、“「虹の家」の優しい守り人”嶋影優子さんです!
嶋影優子さん
特定非営利活動法人 虹の家
1967年長岡市生まれ。虹の家が運営するデイワークス中之島の施設長。活動を応援してくれている人たちへの感謝を胸に、日々利用者の方たちと向き合っている。
十人十色のみんなでつくる 違いを受け入れ支え合うまち | 嶋影優子さん
就労継続支援や障がいのある方に日中活動の場を提供しているデイワークス中之島。その施設長が、あふれる優しさと温かさで利用者の方やスタッフを包み込む嶋影優子さんです。
前職では、歯科医院の受付をしていた嶋影さん。そこで、障がいをもっている患者さんの応対をしたり、歯科検診で障がい者施設を訪れたりしているうちに「彼らの役に立ちたい」と思うようになり、ヘルパーの資格を取得しました。そんな折、虹の家の前身である家族会の求人を発見。「迷いましたが、知り合いからの『自分はどうしたいの?』という言葉で、私は障がい者福祉の道に進みたいのかもしれないと気づき、10年以上勤めていた歯科医院を辞め、現在の職に就きました」。
デイワークス中之島では、平日は就労訓練を、週末は運動や余暇活動を行っています。「一生懸命働いたら、一生懸命遊ぶ」ことを大切に、メリハリのあるサービスを提供。「利用者の方に広い世界を見せてあげたい」と、新型コロナウイルス感染症流行前は、希望を聞いて一緒に旅行に行ったり、留学生と交流したりしたこともあったそう。こうした利用者目線の支援は、着実に実を結んでいます。「家から出られなかった利用者の方が少しずつ施設に通えるようになり、最終的に就職につながったときは、とても嬉しいです」。
障がい者福祉の道を歩み始めてから17年。嶋影さんの活動を支えているのは、「人としてみんなが受け入れられ、一緒に暮らせるまちをつくりたい」という想いです。「ゲームをすれば『楽しい』と言い、お菓子を食べれば『おいしい』と言う。みんな、感じるものは一緒。ここで働く前から、年齢や性別、国籍の違いは重要ではないと思っていましたが、今は、障がいの有無も含めた違いをみんなで受け入れていけたらいいなと思っています」。嶋影さんのこの願いは、活動を通じてたくさんの人の心に届いています。
本記事は、らこって2020年11月号でご紹介しています。