Nagaoka Players PLAYER

更新日:2025.08.01

納得できる選択から始まった場づくり|竹内幸子さん

地域をよくするウワサのあの人にインタビュー!毎月、市民活動に取り組むプレイヤーをご紹介。
活動に関わったきっかけや、どんな役目を果たしているのか伺う中で、活動への多様な関わり方が見えてきました。

竹内幸子さん/水内山 照覺寺 ののさま文庫 管理人
1967年長岡市生まれ。本堂を活用し、定期的に私設図書館「ののさま文庫」を開館。

 

「このままでは、お寺に人が来なくなってしまう」。お寺の本堂を活用した「ののさま文庫」は、そんな危機感と、竹内幸子さんの「いつか本に関わることをしたい」という長年の本への想いから生まれました。コロナ禍で、法要などの行事ができなくなり、空っぽの本堂を見たとき「ここを図書館にできないか」とひらめいたといいます。当時の竹内さんは50代半ば。人生の残り時間を意識したとき、「自分が納得してできることをやってみたい」という想いから、2022年8月に私設図書館としての活動をスタートしました。

「やってみてダメならしょうがない。まずは小さく始めてみよう」と、趣味の延長ではじめたという竹内さん。それでも来館者が一人もいない日が続き、心が折れそうになったことも。そんなときは「今の状況に心残りがないか」を自分に問いかけ、やらない後悔よりやる後悔を選んだといいます。「まずは5年続けてみよう」と決め、もともと凝り性な性格だったこともあり、本集めに奔走したり、本の入れ替えや配置を工夫したりと、居心地の良い空間づくりに力を注ぎました。

 

本を貸し出すひとときに生まれる交流。ふとした一言から会話が弾みます。

そうして毎週日曜日と月曜日に開館し続けたところ、少しずつ来館者が増えていきました。朝は7時から開館しているため、一日の始まりに本を選びに来る方も多く、来館者は老若男女さまざま。子どもたちが絵本を楽しんだり「この本面白かったですよ」「前に勧めてくれた本、すごく良かったです」と大人同士が感想を伝え合う姿も見られます。本棚の前で自然に生まれる会話はささやかな交流になり、新たな視点に出会うきっかけにもつながっています。


また、この取り組みを知った移動本屋さんが遠方から来てくれたり、来館者が読み聞かせの会を開いてくれたり、思いがけない広がりが生まれました。今では地元与板だけでなく市内外から足を運んでくれる人が増え、特別な行事がなくても日常的にお寺に人が集うようになりました。本をきっかけにつながった人が、ふらっと顔を見せに来て立ち話をしてくれ、「本堂も喜んでいる気がする」と竹内さんは笑います。


自分の想いと身近な空間を活かしながら、本と人、人と人との関わりを丁寧に育ててきた竹内さん。これからも構えず気軽に立ち寄れる場所であり続けるため、自分自身の納得感を道しるべに、今日も静かに本堂を開いて、そっと皆さんをお迎えしています。

 

仏教に由来する言葉であるあみだくじ。どんな本と出会えるかはお楽しみ。

 

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