
長岡市の市民活動を語る上で欠かせないイベント「市民活動フェスタ」。その副実行委員長として、長年パワフルに活動されているのが荒井ゆみさんです。新潟市から長岡へ移り住み、子育てをきっかけに地域へと飛び出した荒井さん。その歩みには、ある大切な言葉と、尽きることのない好奇心がありました。
移住と子育ての中で受け取った「恩送り」のバトン
――荒井さんは新潟市のご出身だそうですね。長岡に来られたきっかけは何だったのでしょうか?
荒井ゆみさん(以下、荒井): はい、生まれも育ちも新潟市です。結婚して主人の仕事の関係で長岡に来たのですが、当時は同じ新潟県内なのに長岡のことは何も知らなくて。雪がこんなに降ることも知らずに飛び込んできました。

――縁もゆかりもない土地での生活、不安はありませんでしたか?
荒井: 当初は専業主婦で、子育てに必死でした。でも、私は本当に運が良かったんです。住んでいたマンションにすごく世話好きな方がいて、未熟児で小さく生まれた長子の育児に悩んでいた私を、買い物や家事でずいぶん助けてくれました。
その方が亡くなる前に私に言ってくれた言葉が、今も私の宝物なんです。
「私に(恩を)返さなくていい。私がもらってありがたいと思うなら、それを次の人に返しなさい」
って。見返りを求めない「恩送り」の精神。この温かな輪が、私の活動の原点になりました。
「子供会は子供が主役」という気づきから始まった挑戦
――そこからどのように市民活動に関わっていかれたのですか?
荒井: 本格的なきっかけは、下の子が小学6年生になった時の子供会の役員でした。市の研修会に参加した際、「子供会は子供の会であって、親の会ではない」という言葉に衝撃を受けたんです。それまでは大人がお膳立てして子供を「お客様」として遊ばせるものだと思っていましたが、そうじゃない。子供たちが自分たちで考えて動く姿を見守る楽しさを、ジュニアリーダーの高校生たちから教わりました。

――その「子供の自主性を尊重する」という姿勢は、他の活動にも繋がっていますね。
荒井: そうですね。建築士会の事務局として関わった「親と子の都市と建築講座」でも、単に知識を教えるのではなく「なぜコンクリートは固まるのか?」といった問いから子供たちに発見してもらうことを大切にしました。

また、中越地震の後に「子供たちを元気にしたい」という思いで始まった「長岡ワクワクポニー」にも関わりました。ポニーって、人間以上に優しいんですよ。障害のある子もない子も、ポニーのお世話を通じて自然と仲良くなっていく。そんな魔法のような光景をたくさん見てきました。

命と向き合い、選んだ「本当にやりたいこと」
――これほど多岐にわたる活動を長年続けてこられた原動力は何でしょうか?
荒井: 実は20年ほど前、原因不明の体調不良で3ヶ月ほど入院したことがありました。数値が異常に高く、命の危険を感じるほどで。その時、ベッドの上で今関わっている活動をすべて書き出し、「本当に自分がやりたいものは何か」を整理したんです。

――ご自身の活動を「仕分け」されたのですね。
荒井: はい。「自分が抜けると申し訳ない」という義務感だけで続けていたものは手放し、純粋にワクワクするものだけを残しました。その結果、今も続いているのが「市民活動フェスタ」です。私、お祭りが大好きなんですよ(笑)。
誰もが主役になれる“ハレの場”をデザインする

――荒井さんにとって、フェスタの魅力とは何ですか?
荒井: 普段の生活では出会えないような、面白い人たちがいっぱい集まるところです。植林に情熱を注ぐ人、新種のメダカを作る人、吹き矢の先生……。そんな皆さんが自分の「好き」を形にして、キラキラと輝いている姿を見るのが一番の幸せです。
――会場づくりにも荒井さんならではのこだわりがあると伺いました。
荒井: ステージに紫の幕を下げたりするのもそうですが、せっかくの「ハレの場」ですから、写真に撮った時にも華やかで、みんなが誇らしく思える場所にしたいんです。日常(ケ)を頑張っている人たちが、パッと輝ける瞬間を作りたい。それが私の役割だと思っています。
好奇心のままに、人生を面白がる
――最近では「ながおか自然エネルギー」の活動にも参加しているとお聞きしました。
荒井: 私は昔から知的好奇心が強くて(笑)。小学校の時の先生が「教えるのではなく考えさせる先生」で、学ぶことの楽しさを植え付けてくれたんです。通信制大学でボランティアについて学んだり、最新の科学にワクワクしたり。人生には限りがあるから、覚えることよりも「面白がること」を大事にしたい。一つひとつの興味が、不思議と全部繋がっていくんです。

――最後に、これから市民活動に関わろうとしている方へメッセージをお願いします。
荒井: 「お金にならないのに」と言われることもありますが、私はそれ以上のものをたくさん受け取ってきました。自分の興味があることに素直になって、精一杯楽しんでみてください。そうすれば、人生はもっと面白くなりますよ!
【インタビューを終えて】
荒井さんの原点に合った「恩送り」の経験は今回初めてお聞きしました。荒井さんを見ていて、なんでこんなに楽しそうに子どもに関わり続けられるんだろう?という疑問の答えをみつけたように感じました。
荒井さんの「面白がる力」は、いつも周りを明るく照らす太陽のよう。そんな荒井さんの想いを受け取った次の世代は、いつかその恩を未来へ送る立場になってくれることでしょう。
荒井さんのインタビューはYoutubeでもお楽しみいただけます!記事にできなかったお話もたくさん!ぜひご視聴ください。