
長岡市内でSDGsに取り組む企業や団体をご紹介する「長岡みんなのSDGs」。今回は、長岡市和島地域・越路地域を拠点に、里山の再生や森林整備、地域資源の活用を通じて持続可能な地域づくりに取り組む株式会社未来里山技術機構(以下NEST)を訪ねました。鳥獣被害対策の第一人者として活躍している代表取締役の山本麻希さんがNESTとして目指すのは、「懐かしい未来」の実現です。その想いについてお話を伺いました。
「人がいない」現実が会社設立の原点
株式会社未来里山技術機構(NEST)は、2024年に設立されました。代表の山本さんは、長岡技術科学大学で約19年間、鳥獣被害対策の研究に携わってきました。
会社を立ち上げるきっかけとなったのは、中山間地域の現実でした。
「現場へ行くと、そこに人がいないんです。」
対策の方法は分かっていても、そこに営みがなく、暮らしている人が少なく対策方法を伝えることが難しい。このままでは中山間地域そのものが維持できなくなり、野生動物(山)と人(まち)との境界が失われてしまう。そんな危機感が、大学を離れ、新たな挑戦を始める大きな原動力になりました。
山本さんが目指すのは、野生動物を排除することではありません。
「人と野生動物が住み分けながら共存できる環境をつくること。」
そのためには、山とまちの間にある里山で人々の暮らしや経済活動が続いていることが欠かせないと考えています。

「懐かしい未来」を未来の技術で実現する
NESTが掲げるビジョンは、「懐かしい未来」。
昔の里山では、薪がエネルギーとなり、家畜の糞は肥料となるなど、地域の中で資源が循環する暮らしが当たり前にありました。しかし、同じ暮らしをそのまま現代に再現することは簡単ではありません。
しかし、このサステイナブルな循環はとてもいいことで、二酸化炭素を出したくない現代の需要ともマッチしています。
そこでNESTが目指しているのは、循環の仕組みを未来の技術や考え方と組み合わせ、新しい形で地域に取り戻すことです。
森林を整備し、木材やエネルギーを活用しながら農業や畜産につなげ、「稼げる仕組み」をつくることで、若い世代が安心して暮らし、子どもを育てられる地域を目指しています。

里山での挑戦から生まれた地域の支え
現在、NESTには地域おこし協力隊や農業・畜産に携わるメンバーなど、若い世代が多く集まっています。それぞれが得意分野を活かしながら、森林整備や農業、ヤギの飼育、ジビエ活用など幅広い活動を展開しています。
設立当初は2人でのスタートでしたが、地域の農家や事業者の皆さんが農地や事務所を貸してくれたり、探してくれるなど、多くの協力を得ながら少しずつ活動の輪が広がってきました。
「ようやく見せられるものが出来てきました。」
そう笑顔で話す山本さんの言葉からは、地域の皆さんと一緒につくり上げてきた手応えが感じられました。

長岡から全国へ。里山再生のモデルを届けたい
NESTの活動は、鳥獣被害対策だけにとどまりません。
森林整備によるCO₂削減や生物多様性の保全、地域資源の循環利用など、多くのSDGsにつながる取り組みとなっています。
今後は、長岡で築き上げた“循環型の地域づくりモデル”を、同じような課題を抱える全国の中山間地域へ届けていくことを目標にしています。
また主に林業の中心になっている針葉樹ではなく、新潟県でいうと4分3の割合となる広葉樹の問題に手を入れていきたいとも考えています。広葉樹の課題を解決できる仕組みを作り、全国にいる広葉樹林で困っている方々にお伝えしていきたいという思いもあります。
SDGsとのつながり
NESTの活動は、SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」をはじめ、目標15「陸の豊かさも守ろう」、目標13「気候変動に具体的な対策を」など、多くの目標につながっています。
里山を守ることは、自然環境を守るだけではありません。地域で働き、暮らし続けられる仕組みをつくることが、人と自然が共存する未来につながっています。
ビジョンに掲げる「懐かしい未来」という言葉には、昔の暮らしへ戻るのではなく、その知恵を現代に活かしながら、持続可能な地域を次世代へ繋いでいきたいという想いが込められていました。

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