やりたいことを実現し、地域を元気にする市民活動は本当に素晴らしいものです。しかし、こうした活動を単発で終わらせず、団体として長く、そしてメンバー全員が楽しく安全に続けていくために避けて通れないのが「組織の運営ルール」です。
今回は、団体の未来を守るための会則・規約の整理術をお届けします!
なぜ「会則・規約」が必要なのか?
活動が始まったばかりのときや、気の合う仲間だけでワイワイ活動しているときは、「わざわざ堅苦しいルールなんて作らなくても……」と思いがちです。
しかし、活動が数年続いてメンバーが増えたり、大きなお金を扱うようになったりすると、少しずつ歯車が噛み合わなくなることがあります。実際に協働センターに寄せられるのは、以下のような「もしも」のリアルなお悩みです。
- 「メンバー間で活動方針のズレが生まれ、派閥のようになって対立してしまった」
- 「代表の独断ですべてが決まってしまい、周りのメンバーのモチベーションが下がってしまった」
- 「お金の管理がなあなあになっていて、メンバー間に不信感が漂っている」
トラブルが起きてから感情的に話し合おうとすると、せっかく築いた人間関係が壊れてしまうことも。
会則や規約は、メンバーを縛るための「規則」ではなく、もしものときに全員が立ち戻り、客観的に判断するための「共通の判断基準」なのです。
これだけは外せない!押さえておく「7つのポイント」
任意団体の会則は法律で形式が決まっているわけではないので、自分たちに合わせて自由に作ることができます。過去の「市民活動・虎の巻」でもご紹介している、これだけは必ず入れておきたい7つのポイントに沿って構成を整理しましょう。
①名称・所在地
団体の名前と、活動の拠点をどこに置くかを明記します。団体の顔となる部分です。
【例】
(名称)
本会は、○○○○○会と称する。
(事務所)
本会の事務所は長岡市○○○とする。
②目的
「何をするための組織なのか」を分かりやすく記述します。団体の存在意義を示す最重要の部分であり、迷ったときに全員が立ち戻る原点になります。
【例】
(目的)
本会は、○○○○○することを目的とし、令和○○年○月○○日設立する。
③活動内容(事業)
目的を達成するために、具体的にどんな活動(イベント、調査、情報発信など)を行うかを記載します。本来の活動を見失わないために必要です。
抽象的な表現は避け、「誰に対して何をするのか」を具体的に箇条書きで記載するのがポイントです。
【例】
(事業)
事業は下記について実施する。
1. 地域住民の交流および健康増進を目的としたコミュニティイベント(カラオケ大会や茶話会など)の企画・運営事業
2. 地域の歴史、文化、自然資源の保全およびそれらを通じた情報発信事業
3. その他、この会の目的を達成するために必要な事業
④会員規定
趣旨に賛同する人の集まりとして、会員の種類、会費、入会・退会の手続き、除名規定などを定めます。
【例】
(会員)
本会の会員は、次の○種類とする。
(1)正会員は、この会の目的に賛同し入会した者とする。
(2)賛助会員は、この会の事業を賛助するために入会したものとする。
(3)その他、会長が認めた者
(入会)
入会を希望する者は、入会申込書を○○に提出し、承認を得るものとする。
(会費)
会員ごとに年額X,XXX円とし、X月X日までに納入するものとする。
(退会)
会員は、退会届を○○に提出することにより任意に退会することができる。
⑤役員
代表、副代表、会計、監事(会計監査)などの役職と、それぞれの役割・人数・任期、そして選出方法を決めます。
【例】
(役員)
1. 本会に次の役員を置く。
(1)会長 1名
(2)副会長 X名
(3)会計 X名
2. 第1項に定める役員は、会員の互選により選出する。
3. 役員の任期は、X年とする。ただし、再任を妨げない。
(職務)
1. 会長は、本会を代表し、その事業を総括する。
2. 副会長は会長を補佐し、これに事故あるときまたは欠席のときは、その職務を代行する。
3. 会計は、会の会費、その他事業にかかわる財産を管理する。
(解任)
役員が次の各号のいずれかに該当するときは、○○の議決により、これを解任することができる
(1)心身の故障により、職務の執行に耐えられないと認められるとき。
(2)本人の申し出があったとき。
(3)義務違反その他役員としてふさわしくない行為があったとき。
(資産)
この法人の資産は、次の各号に掲げるものをもって構成する。
(1)財産目録に記載された財産
(2)入会金及び会費
(3)寄附金品
(4)財産から生じる収入
(5)事業に伴う収入
(6)その他の収入
⑥会議
団体を民主的に運営するための話し合いの場を定めます。
- 総会: メンバー全員が集まる最高意思決定機関(年に1回などの開催頻度や決議方法)。
- 役員会: 日常の具体的な活動や細かな意思決定を行う場。
【例】
(総会)
1. 本会の総会は、正会員を持って構成し、年に○回開催するものとする。ただし、必要があるときは臨時に開催できるものとする。
2. 総会は、以下の事項について議決する。
(1)会則の変更
(2)事業の変更
(3)事業報告及び収支決算
(4)役員の選任または解任
(5)解散
(6)その他会の運営に関する重要事項
3. 総会は、正会員の過半数の出席がなければ開会することができない。
4. 第2項に定める議決は出席者の過半数の承認を以て決し、可否同数のときは議長の決するところによる。
(議事録)
総会の議事については、議事録を作成する
(役員会)
1. 役員会は役員を持って構成する。
2. 役員会は、総会の議決した事項の執行に関する事項及びその他総会の議決を要しない業務の執行に関し、議決する
⑦組織の運営
団体の活動とお金が「いつからいつまでの1年間(事業年度)」で区切られるか、会計報告や会則の変更方法、万が一団体を解散するときの残余財産の処分方法など、運営上の重要ルールを定めます。
【例】
(事業報告書及び決算)
会長は、毎事業年度終了後Xか月以内に事業報告書、収支計算書を作成し、監査を経て総会の承認を得なければならない。
(事業年度)
本会の事業年度は、X月X日に始まり、翌年X月X日までとする。
(事務局)
本会の事務を処理するため、事務局を置く。
(解散)
1. この団体は、次に掲げる事由によって解散する。
(1)総会の決議
(2)目的とする特定非営利活動に係る事業の成功の不能
(3)正会員の欠亡
(4)合併
2. 総会の決議により解散する場合は、正会員総数の4分の3以上の承諾を得なければならない。
(委任)
この会則に定めない事項は、総会の議決を経て、会長が別に定める。
(変更)
この会則は、総会において、出席者の過半数の承認がなければ変更できない。
ひな形をこちらからダウンロードできますのでご活用ください。
トラブルを未然に防ぐための「一歩進んだ整理術」
7つの基本ポイントをベースに、特にトラブルになりやすい部分をカバーする、虎の巻ならではの実践的なアドバイスです。
「権限」と「お金のチェック」を必ず盛り込もう
会則づくりの最大のポイントは、⑤役員、⑥会議、⑦組織の運営における「誰が何を決められるか(権限)」と「透明性」の明確化です。
- ワンマン防止: 「代表の決定」だけでなく、予算や規約変更などの重要事項は必ず「総会」の承認を得るルールにしておくことで、メンバーの納得感が生まれます。
- 金銭トラブル防止: 会計担当とは別に、客観的にお金をチェックする「監事」を1名以上置くルールにし、年に1回の総会で必ず会計報告を行うことを徹底しましょう。
【おまけ】デジタルツールの「運用ガイドライン」のススメ
最近のまちづくり相談室で、非常に相談が増えているのが「LINEグループやオープンチャットでのコミュニケーションのトラブル」です。
- 夜遅い時間に、活動に関係のない投稿が何度も送られてきて疲れてしまう
- 個人的なビジネスや他の団体のイベントの宣伝・勧誘をされて困惑している
- 業務連絡のつもりで送ったメッセージが、誤解を生んでメンバー間で揉めてしまった
これらは非常に現代的な悩みであり、公式な会則に細かく書き込むのは少し大げさです。
そこで、会則とは別に「LINE運用ガイドライン」という別紙を作っておくことをおすすめしています。
ツールを導入する最初のタイミングで、このガイドラインをメンバー全員に共有しておくだけで、連絡のスムーズさと居心地の良さが格好良く両立できます。
ルールは団体の成長に合わせて育てるもの
会則や規約は、一度作ったら二度と変えられないものではありません。
「最初は5人だったけれど、20人に増えた」「オンラインでのやり取りが中心になった」など、団体の規模や時代の変化に合わせて、ルールも少しずつアップデートしていけば良いのです。
「最近、なんとなくメンバーの足並みが揃わないな」「お金の管理方法をもう少しカチッとさせたいな」と感じたら、ぜひ一度、既存のルールを整えてみませんか?
会則づくりに迷ったら「協働センター」へ!
「自分たちの団体に合う文面が作れない」「今の会則をどう直せばいいかアドバイスがほしい」というときは、ぜひ、ながおか市民協働センターへお気軽にお越しください。
他団体の参考事例やテンプレートを交えながら、コーディネーターが皆さんの団体の未来を守るルールづくりを優しくサポートします!
解説動画はこちら
コーディネーターが詳しく解説している動画です。こちらもあわせてご覧ください。
