2020.11.11

市民活動・虎の巻 | 市民活動の活動資源『ヒト』編vol.2 ~仲間の輪を広げる3つの仕掛け~

どんな取り組みにも課題は付きもの!地域活動の実践者に聞く、ノウハウコラムです。
試行錯誤を重ねて、自分たちなりの答えを築いてきた一歩先ゆく団体の取り組みにはヒントがたくさん。
これを読めば、みなさんの活動にヒントと勇気が湧いてくるかも!


ビジネスの分野ではヒトモノカネ情報などを「経営資源」とみなして、その有効活用が会社を成長させるために大切だと考えられています。市民活動も団体を育て、持続的な活動をしていくために「活動資源」をどう活かしていくか?という視点が大切です。今回は、前回に引き続き「ヒト」に注目して解説します。


自分たちの活動を育てていくためには、関わってくれる人の輪を広げていくことが大切です。しかし、「なかなか一緒に活動してくれる仲間が増えない」という悩みは絶えません。
企業活動を見るとわかりやすいですが、会社の商品やサービスを売る「宣伝」と、働く人を探す「採用活動」は別物ですよね?市民活動においても、一緒に活動する仲間を集めるためには、イベントや通常活動とは別の取り組みが必要です。
仲間を集めるためには、次の3つを準備することをおすすめします。


①定期的な共同作業の場

ポイントは「定期的」。学校や会社でもそうですが、友だちは定期的に顔を合わせる関係の中で生まれるものなので、なるべく気軽に集まる機会があることが大切です。会議やお茶飲会などでもいいですが、みんなが手伝える作業があった方が初めての人でも気軽に参加できます。参加者が、「手伝っている」「役立っている」と思える作業を用意しましょう。
(共同作業の例)ゴミ拾いや清掃、農作業、物品整理、発送物の封筒入れ作業など「手伝っている」「役立っている」と思える作業が望ましいです。

②協力の声がけ

に参加してくれる人を集めましょう。その際には、企業が採用活動の時に会社の特徴や目指す未来をPRするのと同じように、市民活動でも活動の目的やビジョンなどをまとめたパンフレットやチラシなどがあると声がけがしやすいですね。事前に用意しておくことをおすすめします。

③活動の手応えや意義を感じる機会

分かりやすいのは対外的なイベントの開催。お客さまや地域の人に喜んでもらうことは何より活動の手応えを感じさせてくれるでしょう。また、最初は単純な共同作業に参加していた人が、任される作業や仕事が増えたり、コアメンバーになったりと、人に合わせて団体内で担う役割がステップアップするような体制をつくることも大切です。


それ以外にも、一年の活動の成果をまとめたり、振り返り会でメンバーそれぞれが活動にどんなことを求めているのか、どんな意義を感じているのか、などを共有する機会をつくったりすることでも、団体への愛着や活動へのやりがいがアップします。

市民活動は「ヒト」ありきの活動です。何かの目的を達成するために活動することも重要ですが、そこに集まったヒトで何ができるのか?を考え続けていく視点も大切です。両者のバランスを取りながら長く続く活動を育てていって下さい。

【Q1】活動の手伝いをお願いしても断られてしまいます。

【A1】頼まれごとは、気軽に引き受けたらあとが怖いと誰もが思うもの(笑)。そんな時は、手伝ってもらいたい内容をなるべく具体的に伝えましょう。その際には、「それくらいなら…」と思ってもらえるくらいハードルの低い作業を用意するのがおすすめです。

【Q2】メンバーが辞めていってしまいます。

【A2】ビジネスでは基本的に報酬=お金ですが、市民活動では活動を通して得たいものは人それぞれです。市民活動では、メンバーに合わせて方向性や内容を常に調整していくことが不可欠。メンバーが団体に関わる理由や、何に喜びや充実を感じるのかを聞いてみましょう。


本記事は、らこって2020年11月号でご紹介しています。