2022.11.14

我が子の友だちづきあいが書籍製作の原点に | 金内美幸さん

地域をよくするウワサのあの人にインタビュー!毎月、市民活動に取り組むプレイヤーをご紹介。活動に関わったきっかけや、どんな役目を果たしているのか伺う中で、活動への多様な関わり方が見えてきました。

 

 

我が子の友だちづきあいが書籍製作の原点に

金内 美幸さん
47歳/司会業/障がい児ママサポートかけはし~長岡~代表
1974年福岡県生まれ。長男(10才ダウン症)長女(8才)の2児の母。
家族の体験が題材の書籍が10月に完成し、販売を開始した。


長男の出産から数週間後のこと。彼がダウン症だと知らされてから、金内美幸さんは戸惑いの中で子育てをしてきました。我が子のことで迷惑をかけているのではないかと感じ、とにかく周囲に頭を下げる毎日だったと言います。
謝り続けた保育園での3年間。卒園式の日にお友達のママさんから掛けられたのは、意外にも「関わってくださってありがとうございました。うちの子が優しい子に育ちました」という言葉でした。「友人たちは幼少期から共に過ごす中で、息子への適切な対応や言葉がけが身についたというのです。それまで抱えていた、どこか後ろめたい気持ちが、感謝の気持ちに変わりました」。
金内さんは、親子で経験したような、幼児期における障がい児と友だちとの関わりが多様な世界や人たちを受け入れる心を育み、彼らが大人になったときにその子らにも伝わる、その連鎖こそが共生社会につながると想像し、自身の経験を世間に広めたいと考えるようになったそうです。想いを共有できる協力者もでき、自身と似た境遇にあるママたちに寄り添う団体の運営、イベントや発達障がい児用の支援グッズ販売などにも取り組んできました。
2021年、金内さんは自分の経験と想いを多くの人に伝えたい、そのために形として、絵本の製作を思い立ちます。本づくりという未知の分野で、出版経験者やデザイナーなどの専門家との幸運な出会いも後押しになりました。親子で読み、読後に対話が生まれるような工夫も取り入れ、構想から一年あまり、最終的に絵本は漫画本という形で完成に至りました。


「書籍出版はスタート!学校に寄贈するなどして多くの人に読んでいただき、要請があれば講演活動もしていきたい」と語る金内さん。
「さまざまな立場から読めるよう、当事者ではなくその友だちを主人公にしました。事前に読んだ方たちからは共感した、感動したとおっしゃっていただいたので、多くの方が待ってくれている漫画だと信じ、広めていきたいと思います」。

協力者との話し合いを重ね完成した「トモトモ〜ダウン症の友達と共に〜」

 


本記事は、らこって2022年11月号でご紹介しています。

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