地域をよくするウワサのあの人にインタビュー!毎月、市民活動に取り組むプレイヤーをご紹介。活動に関わったきっかけや、どんな役目を果たしているのか伺う中で、活動への多様な関わり方が見えてきました。
田中洋介さん/43歳/田中清助商店 代表取締役/子商塾
1980年長岡市与板生まれ。家業であるお茶屋を営む傍ら、地元与板を拠点に地域を活気づける活動に取り組んでいる。
田中洋介さんは、与板で江戸時代から続くお茶屋の8代目。東京で9年間システムエンジニアとして勤めたのち、2014年に地元へUターン就職しました。その後、会社員として働く傍ら、市民活動やながおか若者会議に参加。その中で、多くの若い経営者と出会ったことが契機となり、家業を継ぐことを決意しました。この決断には親の代で歴史を途絶えさせたくないという想いも込められていました。
「与板には何もない」という大人も多く、自分もその一人だったという田中さんですが、地元に戻ってきたことで地域の魅力を再認識したといいます。「自然や伝統、商店街があって歩き回れる環境、地域の顔が見える関係性があるのが与板の良さ」。その魅力が当たり前すぎて気づきにくい。だからこそ、子どものうちから地域の良さや、多様な人たちの存在を知って、与板を好きになってもらうことが大切だと考えています。そんな想いから、学校の総合学習の先生を引き受け、地域の歴史や祭り、仕事の話を伝えるなど積極的に地域の教育に関わっています。
2023年には、子どもたちに「お金」についての知識を身に着けてほしいと、地域の教育活動として「子商塾」を始めました。「子どもたちが自ら仕入れ、付加価値をつけて販売し利益を得る」体験を通して、商いの視点と経済的な知識を身に付けようという取り組みです。イベントでどんなドリンクを販売したいかを考えてもらい、試作を重ねオリジナルドリンクを考案。価格設定やイベント当日の呼び込み・販売も子どもたちが行いました。
「子どもたちが、楽しみながら取り組む姿や反省と改善を繰り返し、お金を稼ぐことの大変さを学びながら自信をつけて成長していく姿を見ると嬉しい」。と話します。1年目は子どもたちに商いの楽しさを実感してもらうことを第一にサポートしていましたが、2年目は子どもたちだけで商いができる力を身に付けてほしいと考えている田中さん。
「地域を長期的な目線で見たとき、20年後30年後を支えるのは子どもたちの世代。その子どもたちが、地域に対して愛着と誇りを持ってくれる取り組みを続けたい。そして、学校では習えない実践的な視点や自立心を学びながら成長していってほしい」。不易流行の考えで、新しい挑戦を続ける田中さん。これからも地域の未来を見据え、教育と地域づくりの両面で活動を続けていきます。