長岡みんなのSDGs SDGs

更新日:2026.08.17

地域の宝物「川」でつなぐ笑顔の輪! | 越後かわぐち 游川の会

長岡市内でSDGsに取り組む団体にスポットを当てる「長岡みんなのSDGs」。

長岡市川口地域を流れる清流「魚野川」は、古くから人々の暮らしや文化を支えてきた地域の貴重な資源です。
今回は、この川の魅力を次世代へ伝え、環境保全と地域の活性化に尽力する「越後かわぐち 游川の会(ゆうせんのかい)」の皆さんにお話を伺いました。
設立から30年以上にわたり、自然体験を通じて持続可能な地域社会づくりを目指す同会の歩みと取り組みをご紹介します。

「遠ざける危険」から「正しく学ぶ安全」へ

游川の会は、1990年に有志によって設立されました。
活動の原点にあるのは、子どもたちが川などの自然環境から遠ざかっている現状に対する強い危機感です。

近年、学校教育や地域社会では事故防止を優先するあまり、「川は危険だから近づいてはいけない」と一律に指導する傾向になっていました。
しかし、実際に水辺に立つ経験をしなければ、どこまでが安全でどこからが危険かという境界線を自ら判断する力は養われません。

代表の岡村真人(まさひと)さんをはじめとするメンバーたちは、幼少期に川で遊んだ実体験を通じて、自然の楽しさと注意すべき危険の両方を学んできました。

危険だから排除するのではなく、ルールを守って正しく遊ぶことで、川は最高の学びの場になります。
子どもたちが安全に水と触れ合い、身を守る術を自然に身につけられる環境をつくるため、同会の活動が始まりました。

地域資源を活用した体験イベントの展開

游川の会の中心的な事業が、毎年8月に開催される「川魚のつかみどり」イベントです。

地域のシンボルである川口やな場の近くにある親水広場、魚野川水辺プラザ(通称「じゃぶじゃぶ池」)を活用し、子どもたちが素手で魚を捕まえる機会を提供しています。

かつて川口やな場は、2011年7月の平成23年7月新潟・福島豪雨により、やな場の仕掛けや食事処といった施設の大半を失う被害を受けました。水辺プラザは、被災から7年後の2018年に完成した広場です。より安全で川辺の生き物を学べる空間を望む住民の声を受け、長岡市と国土交通省信濃川河川事務所が整備しました。

同会は感染症の拡大期にも活動を休止せず、河川敷に家族ごとの専用プールを設置してイベントを継続しました。
こうした工夫の根底には、川口の人々にとって川が暮らしの大切な一部であることを伝え続けたいという想いがあります。

地域を超えたPRと誰一人取り残さない社会の実践

同会の活動は川口地域内にとどまらず、地域外への魅力発信にも広がっています。

東京都狛江市などの交流都市に出向いて鮎のつかみ取り体験や鮎の塩焼きの販売を行い、長岡市川口の豊かな自然や特産品を広域的にPRしています。

さらに2022年からは、ダイバーシティとインクルージョンの観点から、ろうあ者とその家族を対象とした社会福祉イベントを開始しました。
川魚のつかみ取りイベントと同日に、特別な配慮が必要な参加者専用の時間を設けています。聴覚や発話に不自由がある人々にとっても、日常とは異なる体験を通して感情を爆発させられる機会になっています。
イベントでは魚を捕まえるだけでなく、かき氷の販売などを通じた就労体験の場も提供しています。障害の有無にかかわらず、誰もが社会の一員として自然の恵みを共有できる場づくりを進めています。

游川の会が実施する一連の活動は、SDGs(持続可能な開発目標)の複数目標と密接に関連しています。

目標15:陸の豊かさも守ろう(環境保全と継承)

  • イベント開催前には、会員や参加者による河川清掃やパトロールを定期的におこなっています。
  • ゴミの放置を防ぎ、水辺の自然環境を美しく保つことで、水生生物の生息地を守り、地域の宝である清流を未来へ継承しています。

目標10:人や国の不平等をなくそう(共生社会の実現)

  • ろうあ者向けイベントや就労体験の提供により、情報や体験のバリアを解消しています。
  • 多様な背景を持つ人々が等しく自然体験を享受し、相互理解を深める機会を創出しています。

目標11:住み続けられるまちづくり(交流人口の拡大と地域振興)

  • 体験イベントを通じて市外・県外から訪れる人々を増やし、地域の温泉や食などの観光資源を連動させて周知しています。
  • 地域への愛着を育むとともに、関係人口の創出を通じて持続可能な地域社会の形成に貢献しています。

自然体験が育む豊かな地域社会の未来

游川の会が目指す2030年の姿は、子どもから高齢者、障害のある方も含めたすべての住民が、自然の恵みを通じて笑顔でつながる地域社会です。

岡村さんは今後、やな場周辺の環境整備をさらに進め、子どもたちが日常的かつ安全に水辺に親しめる環境を整えたいという展望を持っています。

幼少期に川で遊んだ体験や仲間と協力した記憶は、将来にわたって地域や自然を愛する心の糧となります。
やな場や魚野川水辺プラザは、安全に配慮された水と親しめる場所です。この夏、豊かな自然にあふれる川口の水辺を訪れてみてはいかがでしょうか。