学生とのコラボの秘訣 ・・・学生さんとの出会い、太陽と北風
NPOトキめきラボ 樺沢新一さん
私たちは、2004年中越地震発生の前年に活動を始めました。学校にいけない子供の居場所として日曜日工作教室を始めたのがきっかけでした。といっても、子ども達は、ものづくりが好きなのに、私には何も技術がありませんでした。そんなある日、長岡技大の学園祭に行きました。ロボコンを見て面白いと思いましたが、声はかけられませんでした。そんな時、模擬店で喫茶店がありそこのマスターとしゃべっていたら「僕、ロボコンプロジェクトのメンバーですよ!」と不思議な出会いがあり、意気投合したのです。いま、我々が行っている子どもの居場所では、「実は、ロボコンなんかやってみたい」というメンバーの思いを話したら、「僕ら行きますよ」っていってくれたのです。出会いが不思議な歯車を回しました。
そうして彼らが来るようになったある日、中越地震が起きたのです。その小学校の工作室が避難所になりました。
たまたま、応援取材で現場に入っていた東京渋谷のNHK取材班から「何か取材したいんですが」と声をかけられたのです。学生さんと相談したらロボコンの大会やったらいいのではとアイデアが出ました。そこで、ミニ大会をすることになったのです。ピンポン玉を運ぶ簡単なルールでしたが、親も子も熱中して楽しかったです。全国的に見ても、民間で小学生のロボコン大会を行っていることは珍しかったようです。映像は全国へ放送され、注目されていきました。
その後、学生さんのアイデアでBGM演出(ロボコンサート)や、子持ちのお母さんと独身男性の結婚にまで成長していくのですから何がどうなるかわからないものです。その後、学生さんが大学にクラブを作って組織化したので人材も心配無用となっていきます。しかし数年後、失敗がおきました。学生さんを頼り、期待し過ぎたため、分裂、批判と大変なことになり、クラブは空中分解することになったのです。そのことから、その年その年の学生さんのキャラがあるのだから個性を尊重することも大切と、「子育ては親育て」のごとくこちらが育てられ学ばされたのです。彼らとの信頼を積み上げるためには、自主性に期待しながらも過度な要求はしないことが大切だとわかりました。
それからは、長岡造形大学の先生にお願いして幅広く学生さんを紹介していただいたり、質の違う学生さんをメンバーにしたりしましたが、次第に活動を一緒に取り組んでいくには学生さんにもメリットが必要と感じていきました。ある日、学生さんが言ってたひとりごとが聞こえてきたのです。「僕等は、子供たちと接する機会や社会人の方と接する機会が経験になるのです」。つまり、学校の授業では学べない社会で即戦力となるもう一つの勉強です。
学生さんに期待ばかりしていた自分に気が付き、ギブ&テイクが発展の法則であることを忘れていたのです。
それからは、楽しく学生さんと付き合えるし、就職して社会人となっても「Uターンで帰ってきたんで連絡しました」と高専OBロボコン関東大会準優勝のメンバーから突然の電話があったりと、たまに帰ってきたときに連絡をくれたりすることもありました。とてつもない時間が縮まり、思い出が昨日のことのように蘇ってくるかのようです。その日は、なんとなく懐かしく嬉しい一日を過ごしました。きっと社会に揉まれ成長しているだろうと思うと胸がいっぱいになりました。これが、我々の宝物かもしれないと思いました。
最後に、「北風と太陽」の話のように北風が無理やりコートを脱がそうとすれば反発し、逆に太陽のように日がさせば、自分からコートを脱いでくれるってことかなと思いながら、彼らと過ごした時間で自分も少し太陽に近づけたのかなと思わされました。
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