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日付:2023年01月23日
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【特集】地域も私もしあわせにする 寄付のカタチ

 皆さんは「寄付」に、どのようなイメージをもっていますか。困っている人を助けること、誰かの夢や目標を応援すること、社会参加への一つの手段…何となく「社会にとって良いこと」というイメージをもっていても、心のどこかで「経済的に余裕のある人がすること」「買い物と違って、お金を払っても何も手に入らない」「少額では意味がなさそう」と思っている方もいるのではないでしょうか。今回は、こうした寄付のイメージについて考えます。

 

「寄付者=裕福な人」とは限らない

 2020年、日本では1年間で44.1%の人が寄付をし、その平均金額は37,657円でした(※1)。皆さんは、多いと感じましたか。それとも少ないと感じましたか。世界的に見ると、日本は「寄付をしたか」という項目で119ヵ国中103位(※2)。他の国々に比べると、寄付が根付いているとは言えない現状があります。その要因のひとつは、有名人による多額の寄付に関するニュースなどから「寄付は、経済的に余裕のある人がすること」というイメージをもっている方が少なくないからかもしれません。しかしデータを見ると、必ずしもそうでないことがわかります。冒頭で紹介した「寄付をしたか」というランキングで1位になった国は、インドネシア。何と5年連続で「最も人助けをする国」に選ばれており、84%の人が寄付をしたと回答しています。インドネシアの平均月収は2万6千円(※3)で、これは日本の約12分の1(※4)。国民の多くが信仰している宗教や、古くから根付いていた相互扶助の慣習の影響があると言われていますが、「寄付は裕福な人がすること」とは一概には言えないのかもしれません。

寄付は個人の幸福度を上げる

 「寄付=社会にとって良いこと」というイメージをおもちの方は多いと思いますが、寄付は寄付者自身にも良い影響をもたらすことを知っていますか。人は、人を助けると気分が良くなると言われており、走った後に訪れる幸福感「ランナーズハイ」ならぬ「ヘルパーズハイ」という言葉があるほど。これは食べ物や快楽に反応して活性化する脳の領域が、人を助けるときにも反応すると言われているからです(※5)。またシカゴ大学ブース・オブ・スクール・ビジネスの研究結果によると、通常何かを得たことで得られる喜びは回数を重ねるうちに減少しますが、人に何かを与えて得られる喜びは、自分で何かを得て得られる喜びよりも長く続くそう(※6)。寄付は、寄付をしたとしても買い物のように目に見える対価を得られるものではありませんが、より長く続く幸福感を与えてくれるものだということがわかります。

少額寄付が力になる

 寄付には、被災地への義援金・支援金や社会問題解決のための寄付、誰かのチャレンジを応援するクラウドファンディングと様々な種類がありますが、ここでご紹介したいのは、皆さんが住んでいる地域で活動している市民団体への寄付。長岡市には、地域活性化や子育て、障がい者福祉、環境保護など様々な分野で活動している市民団体がたくさんあり、協働センターには425団体(※7)が登録されています。2019年に長岡市が行った調査によると、長岡市内で活動する任意団体の25%が年間予算5万円以下(※8)で活動しており、たとえ少額の寄付であっても団体にとって大きな力になることがわかります。

 高齢者や障がい者、病気を抱える方々を対象に自宅を訪問し、介護保険外サービスと介護保険サービスを行っている「特定非営利活動法人 ながおかたすけあいネットBEライフ」の原真知子さんは、2017年に寄付者と寄付を受ける人が直接顔を合わせるアイデアコンテストに参加。コンテストの受賞金5万円で法人のホームページを制作したそうです。「ホームページを立ち上げたいと思っていましたが、予算に余裕がないため費用を捻出できずにいました。受賞金をいただいたことで無事ホームページを作ることができ、ヘルパーさんを募集した際『ホームページを見て、色々な世代の人たちが和気あいあいとした雰囲気で活動しているのが素敵だと思って来ました』という方がいらっしゃいました」。またご自身の感謝の気持ちを伝えたいと、次の年には投票者としてアイデアコンテストに参加。その理由を原さんはこう語ります。「前年度にいただいた資金に対する感謝の気持ちを伝えたいと思いました。コンテストでは、他の方のアイデアを聞き刺激をいただきました」。

原真知子さん(特定非営利活動法人ながおかたすけあいネットBEライフ)

 寄付者と寄付を受ける団体が直接顔を合わせる機会は、このようなアイデアコンテストだけではありません。地域の市民活動団体であれば、直接イベントに足を運んだり、言葉を交わしたりすることで顔の見える関係性を築き、安心してお金を託すことができます。日本では寄付先の信頼度を重視し、地縁団体や共同募金会、日本赤十字社などに多く寄付が集まる傾向にあり、それは「寄付金の使い方が明確で、有効に使ってもらえること」を重視しているからだというデータも(※9)。地域で活動している団体に寄付する場合、自分の目で活動を見てから寄付できますし、相手の喜ぶ顔を直接見られて喜びもひとしおではないでしょうか。

 寄付は、寄付を受けた団体だけではなく、寄付をした人にもしあわせをもたらしてくれるものだということがわかりました。そしてその寄付は、寄付を受けた団体が支援している人たちのしあわせにつながり、「しあわせの連鎖」を生みます。それが私たちの地域で起こったら、経済状況や障がいの有無などに関わらず多くの人が笑顔で暮らせるまちになるのではないでしょうか。まずはできる範囲で、寄付を始めてみませんか。

協働センターに登録されている団体の中から、「協力できること」と「協力してほしいこと」の公開を希望した団体のリストをご覧いただけます。あなたの力を必要としている団体が見つかるかも!

  • ※1 「寄付白書2021」日本ファンドレイジング協会
  • ※2 「2022年世界寄付指数」チャリティエイド基金(CAF)
  • ※3 「Rata-Rata Upah/Gaji Bersih Sebulan (rupiah) Buruh/Karyawan/Pegawai Menurut Provinsi dan Jenis Pekerjaan Utama, 2022」BADAN PUSAT STATISTIK
  • ※4 「令和2年分 民間給与実態統計調査 -調査結果報告- 」国税庁
  • ※5 「THE LITTLE BOOK OF LYKKE 人生を豊かにする『6つの宝物』」(マイク・ヴァイキング、2018年、三笠書房)
  • ※6 Anna Mikulak, 2018,「Joy of giving lasts longer than the joy of getting」
  • ※7 2022年11月30日現在
  • ※8 「ながおか市民協働センターの利用等に関するアンケート」長岡市市民協働部市民協働課
  • ※9 坂本治也, 2017, 「寄付に対する不安感と政治不信」

 


本記事は、らこって2023年1月号でご紹介しています。

 

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