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更新日:2026.04.23

男性が気軽に集える場に。寺泊で続く「男の体操教室」【突撃レポート】

長岡市寺泊地域で、長く親しまれている体操教室があります。
その名も「男の体操教室」です。
会場となっているのは、寺泊コミュニティセンター内の体育館。

月に2回ほどのペースで開かれていて、この日も約10人の男性たちが集まり、午前中いっぱい体を動かしていました。
体操教室というと、黙々と運動する場を想像する人もいるかもしれませんが、この「男の体操教室」にはそれだけではなく、地域の交流の場としての役割もあるようです。

 

「男の」と付けたことで、参加しやすい場に

この教室を運営しているのは、一般社団法人総合型スポーツクラブ「てらスポ」です。
スタッフの石黒恵美子さんによると、「男の体操教室」に登録している人は15人ほど。もともとは寺泊支所が行っていた事業を、てらスポが引き継ぐ形で続けてきたそうです。
一時は存続の危機もあったそうですが、現在は毎回10人前後が参加しており、地域の中で着実に定着してきました。
地域には健康づくりのために、健康体操や脳トレなどさまざまな教室がありますが、寺泊のこの体操教室の特徴のひとつが、名前にあえて“男の”と付けていること。少しユニークにも見えるこの名前ですが、実は参加のハードルを下げる大きな役割を果たしているんだとか。
男性が高齢者サロンや地域の茶の間、健康づくり教室といった通いの場にあまり参加してくれない…というのは多くの地域で共通するお悩み。
参加者の中には、「男だけというのは気兼ねなくていい」「女の人がいるとちょっと恥ずかしいもんね」と話す人もいるなど、“男の”という言葉が、背中をそっと押してくれるきっかけになっているようです。

 

ゆっくりと体をほぐしながら、自分のペースで動く

 

教室は、音楽と講師の軽快な掛け声にあわせてスタートしました。
最初はストレッチからスタート。内容は、生活の中でも取り入れやすい無理のない体操が中心です。いきなり激しく動くのではなく、まずは体をほぐしながら少しずつ調子を整えていく流れ。
講師は長年この教室を担当している方。「なぜこの運動が良いのかの理屈やウンチクなんかを伝えながら進めると、みなさんよく聞いてくれると思います」と盛り上げる術もお手の物。最近の時事ネタ(この日はWBCの話)などもちゃんと盛り込み、ずっと声がけをしていました。
参加者たちは、それぞれの体調や体力に合わせながら、ゆったりとした動きで体を伸ばしていきます。

参加者の一人は、股関節を人工関節にされたという方。「何年か前に股関節を人工関節にしましてね。そのリハビリも兼ねて参加しています。月2回ですけど、次の日は疲れて動けないくらい頑張ってる。運動ができる良い機会ですよ」と話していました。
無理をする場ではなく、それぞれの体に合わせて取り組める場だからこそ、長く続けられるのでしょう。ひとりではなかなか運動の習慣が続かなくても、こうして集まる場があることで、自然と体を動かすきっかけが生まれているようでした。

 

体操だけで終わらない ボッチャが生むにぎわい

 

男の体操教室では、ストレッチや有酸素運動だけでなく、毎回「ボッチャ」も行われています。ボッチャは赤と青のボールを投げ合い、白い的球(ジャックボール)にどれだけ近づけられるかを競うスポーツで、パラリンピックの正式種目としても知られています。年齢や障害の有無にかかわらず、誰でも楽しみやすいのが魅力です。

真剣勝負が始まると会場の雰囲気は一変して、にぎやかな空気に包まれます。試合前には、両チームから「エイ・エイ・オー!」という勇ましい掛け声が響き、ボールの行方を見守って歓声が上がります。
てらスポでは、ボッチャの体験会をさまざまな場所で開いているそうですが、その理由についてスタッフはこう話します。
「ボッチャはコミュニケーションのツールとしてとても優秀なんです。この場はもともとコミュニティができている人たちなのでより盛り上がりますが、てらスポが体験会をすると、初対面の人同士でもすごく盛り上がるんですよ」
参加者からも、「体操をするだけだとコミュニケーションの機会が少ない。ボッチャをすることで話す機会が増えていい」「体育館で思いっきり声を出せるのもストレス発散になる」といった声が聞かれました。
体を動かすことに加えて、声を出して笑い合うこと。そのこと自体が、この教室の大切な魅力のひとつになっているのだと感じます。

 

顔見知りが仲間になっていく

この教室の魅力は、健康づくりだけにとどまりません。参加者の話からは、人とのつながりが生まれる場としての価値も見えてきました。
ある参加者は、「もともと寺泊でなんとなく顔は知っている人たちだったけれど、体操教室を通じて話をするようになり、地域の中に仲間ができた」と話します。地域で暮らしていれば、見かけたことのある人、どこかで会ったことのある人は少なくありません。けれど、実際に言葉を交わし、関係が深まっていく機会は意外と限られています。この教室は、そんな“顔見知り”を“仲間”へと変えていく場にもなっているようです。
「自分一人で体操するのは難しいけど、ここで皆と一緒なら自然と体が動く。終わった後の何気ない会話が楽しい」という声もありました。運動の時間そのものももちろん大切ですが、終わった後に交わすちょっとした雑談や、何気ないやりとりも、この教室の魅力のひとつなのでしょう。
“体操をしに来る”と同時に、“誰かに会いに来る”場所にもなっていることがうかがえます。

 

声をかけてもらったことが、参加のきっかけに

 

別の参加者は、コミュニティセンターにふらっと来たとき、声をかけられたことが参加のきっかけだったそう。「もともと興味はあったのですが、なかなか一歩を踏み出せずにいました。そんな時に声をかけられたので嬉しくて、すぐやるやる!と言って参加しました」と振り返っていました。
地域の活動に参加するきっかけは、案外こうした何気ないひと声なのかもしれません。
「興味はあるけれど、自分からは入りづらい」という気持ちは、多くの人に共通するものです。だからこそ、この教室では“参加しやすい雰囲気”がとても大切にされているように感じました。

 

教室を飛び出し、飲み会も開催

 

男の体操教室でできたつながりは、教室の外にも広がっています。
この日受付では懇親会の案内チラシが配られていました。
「最近は年に一回ほどの飲み会をして、体操教室以外でのコミュニケーションを取っている」とのこと。教室で顔を合わせるだけでなく、そこから関係が広がっていくことも、この場が地域に根付いている証しといえそうです。
体操をきっかけに始まったつながりが、日常の中にも少しずつ広がっていく。そうした積み重ねが、地域の安心感や居心地のよさにもつながっているのではないでしょうか。

 

健康づくりと居場所づくり、その両方を支える場

寺泊の「男の体操教室」は、体を動かす場であると同時に、人と人とが自然につながる場でもありました。無理なく続けられる運動があり、声を掛け合える仲間がいて、気軽に参加できる空気がある。そうした要素が重なり合って、この教室は長く愛されてきたのでしょう。
健康のために体を動かすことはもちろん大切です。けれど、それだけでなく、「誰かと一緒だから行きたくなる」「行けば話し相手がいる」と思えることも、通い続ける大きな力になります。寺泊で続くこの教室には、そんな地域の居場所としての魅力がしっかりと息づいていました。

 

活動が気になる方へ

 

一般社団法人 総合型スポーツクラブ てらスポ
男の体操
参加費/500円、ビジター800円
日 時/第2・4木曜日10:00~11:30
対 象/どなたでも
会 場/寺泊コミュニティセンター

男の体操 | 一般社団法人 寺泊総合型スポーツクラブ てらスポ teraspo-sc.com