
こんにちは!ながおか市民協働センターです。
私たちは今回、国営越後丘陵公園内にある「里山フィールドミュージアム」を訪れました。広大な自然が広がるこの場所で、活動しているのが「NPO法人越の里山倶楽部」の皆さんです。
同団体は、公園内の自然保護や保全、そして里山の文化を伝える体験プログラムの運営など、多岐にわたる活動を行っています。今回は、そんなイベントの数々を「下準備」という形で支えているボランティア「里山協力隊」の活動に突撃取材してきました。
目にも鮮やかな新緑に囲まれながら、里山の知恵と交流が詰まった活動の様子をレポートします。
5月8日は「山に入ってはいけない日」?里山の言い伝えとヨモギ摘みスタート

今回のミッションは、7月に開催される人気イベント「笹団子作り」で使うヨモギを収穫し、加工することです。ガイドを務めるのは、越の里山倶楽部の河合佳代子さんと小山陽平さんです。
取材に伺ったのは5月8日。実はこの日、新潟県の魚沼地域では興味深い言い伝えがあるそうです。
「5月8日に山に入って山菜を採ると、山の神様が怒る」と言われているのだとか。これは、山菜の最盛期に無理をして働きすぎないよう、先人たちが作った休息のための知恵ではないかと、とのこと。
そんな言い伝えを尊重しつつ、今回私たちが挑戦するのは「山」ではなく「家の周り」に生えているヨモギ摘みです。
基本、丘陵公園内での動植物の採集は禁止されていますが、公園内で行うプログラムに使うものについては許可を得て採集をすることができる特別な日です。
「家の周りの草なら、きっと神様も許してくれるはず」と、里山協力隊の皆さんと和気あいあいとした雰囲気で活動がスタートしました。里山交流館「えちごにあん」を出発し、里の水辺近くにある古民家を目指して、ヨモギを探しながら歩みを進めます。

外に出ると眼の前の草むらにさっそくヨモギが生えています。ここで、美味しい笹団子の材料になるよもぎ選びのコツを教わりました。
1. 裏面をチェック: 葉をひっくり返して、裏側が白いのがヨモギの特徴です。
2. 柔らかな毛: 表面には優しい毛が生えており、これがお灸にも使われる「もぐさ」の原料にもなります。
3. 葉の先っぽだけを贅沢に: 茎を入れてしまうと、加工した際に筋が残って口当たりが悪くなります。柔らかい新芽の先端だけを「ポンポンポン」と摘み取っていくのがポイントです。
4. 時期の見極め: もう少し季節が進むと、アブラムシやアリが上がってきてしまいます。虫(タンパク質?)が混ざる前の、この時期のヨモギが最も適しているのです。
ヨモギ摘みが初めてのスタッフの岡﨑は「これまでただの草だと思っていたものが、よもぎだと認識すると、まるでヨモギから呼ばれているような感覚になりました」とのこと。
ただの散歩が、一気に「宝探し」のような時間へと変わるのが、里山活動の不思議な魅力です。
生物多様性の宝庫。歩くたびに出会う里山の住人たち

参加者の皆さんは、みな自然環境が好きで詳しい人たち。ヨモギ摘みの道中にも、里山の豊かな生態系について次々と教えてくれました。
水辺で飛ぶ小さな鳥を目にした小山さんが、「もしかしてカワセミ?」と声をあげました。その姿は確認できませんでしたが、鮮やかな青色が美しい「カワセミ」はその美しさから「空飛ぶ宝石」とも称される鳥。土の中に巣を作るのですが、ここ里山フィールドミュージアムの環境は彼らにとっても絶好の住まいになっているそうです。

また、大きなクルミの木の前では、植物の不思議な仕組みも教わりました。クルミの木には「雄花」と「雌花」があり、雄花は花粉を飛ばすためにボロボロと下に垂れ下がり、雌花は受粉しやすいように枝の先端で上を向いて咲いています。
さらに、一面のカタクリが咲き乱れるエリア、カブトムシのこと、サンショウウオの卵や、大きく育ったフキノトウや、雪国で「木の芽」と呼ばれる高級山菜のアケビの新芽を見せてくれたりと、里山の魅力をたくさん教えてくれました。

こうした豊かな里山の環境は、昔からそこに暮らす人々の生活の糧をえるために、利用されてきました。
現在は生活の糧を得るために里山にはいることは少なくなってしまいましたが、その里山の環境を維持するために、倒木などを伐採したり、獣をよせつけないためのゾーンを作るために藪や余計な草を取り除くといった「人の手を入れる保全作業」を継続しているからこそ維持されているものなのです。
「自然」と言いつつも、人の手が加わることで守られる美しさがあることを実感しました。
20年続く絆。ボランティアが語る「活動を続ける理由」
越の里山倶楽部の活動は、2006年5月にNPO法人として登記されたので、今年で21年目を迎えます。メンバーの顔ぶれは実に多彩です。

● ベテランの方: 「仕事をやめるなら、自分の好きなところで働きたい」と、オープン当初から20年以上通い続けている大ベテラン。「人と接するのが大好き。いろんな趣味の人と出会って教わるのが楽しい」と笑顔を見せます。

● 新人の方: 先月初めて参加したばかりの方も。「地元の方に誘われて参加したけれど、自然が好きな人ばかりで本当に楽しい」と、すでにコミュニティに溶け込んでいました。
中には、もともとボランティアとして参加していた方が知識を深め、今では「市民ガイド」として活躍しているケースもあるそうです。
「里山に来た人たちが喜んでいる姿を見るのが一番の楽しみ」という共通の想いが、世代や経験を超えた強い絆を生んでいます。
みんなで集めたヨモギを「下ごしらえ」。目標100個分への挑戦
1時間ほどヨモギを収穫し、古民家へ移動します。ここからは、笹団子の材料にするための加工という重要な工程が待っています。朝から火の番をして待っていてくれた地元の清子さんに見守られながら、作業が進みます。

1. 茹でたよもぎの筋っぽい部分を丁寧に取り除く。
2. カッターやミキサーである程度細かくする。
3. さらにすり鉢とすりこぎを使い、手作業で丁寧に潰していく。
4. 笹団子1人分(25g〜30g)ずつ、重さを正確に測ってラップで包む。

この日設定した目標は、100個分。
皆で分担しながら「あと少し足りない!」「最後はぴったり!」と声を掛け合い、結果的に94個分のストックが完成しました。この丁寧な下準備があるからこそ、7月のイベントで美味しい笹団子を多くの人に届けることができるのです。
作業の後は、みんなでお茶とお菓子を囲んで、ホッと一息。
この時「冷凍ヨモギをホットケーキミックスに混ぜると、綺麗な若草色のホットケーキになる」という素敵な活用法も教わりました。こうした「のどかな団らんの時間」こそが、里山協力隊の活動の醍醐味です。
あなたも「里山協力隊」として、自然の恵みを楽しみませんか?

里山協力隊の活動は、単なるボランティア作業ではありません。豊かな自然の中でゆっくりとした時間を過ごし、五感を通じて「旬」を感じることができる贅沢な時間です。
取材を終えたスタッフも、「普段の散歩がもっと楽しくなりそう」と里山の魅力にすっかり魅了されました。
【今後の活動スケジュール】
● 5月30日(土日): 棚田での田植え。昔ながらの手植え体験です。
● 6月19日(金):養蚕の時期、おカイコ様のためのクワの葉とり。運が良ければクワの実を味わえるかもしれません。

「平日に時間がある方は『食』の準備を、土日にお休みの方は田んぼでの『外』の作業を。まずは一度、遊びに来る感覚で参加してみませんか?」とのこと。
興味のある方は、ぜひ「NPO法人越の里山倶楽部」までお問い合わせください。 豊かな自然と、温かい仲間たちがあなたを待っています!
NPO法人 越の里山倶楽部ホームページはこちら