皆さんは、「サードプレイス」という言葉を聞いたことはありますか。
「サードプレイス」とは仕事と自宅以外の居場所のことで、充実した人生を送るために大切だと言われていますが、それは働き盛りの世代に限ったことではありません。
定年退職したシニア世代が、社会的な役割やつながりを保つためにも、サードプレイスをもつのは大切なこと。
令和4年版高齢社会白書(内閣府)によると、社会活動に参加した人の方が、参加していない人よりも、生きがいを「十分感じている」と回答した割合が高いそうです。
今月号では、サードプレイスを探しているシニア世代の方に向け、活動場所別に活動の楽しさやメリットをご紹介します。
ご近所で活動する
一番身近で始めやすい活動は、自分の住んでいる地域で行われている活動に加わること。
町内会や自主防災会、パトロール活動、地域で行われているイベントの実行委員会などに参加してみるのはいかがでしょうか。
活動を通して住んでいる地域に知り合いが増えると、話し相手だけではなく、「いざ」というときに助けてくれる人がいるという安心感も得ることもできます。
また住んでいる地域で活動する大きなメリットの一つは、自分の地域を自分の手でよくすることができる点。
近所の人からかけられる「ありがとう」の声も、やりがいになりますね。
他の地域で活動する
自分は住んではいないけれど、思い入れのある地域があるのであれば、その地域に関わってみるのもいいかもしれません。
里山資源を活用した活動に取り組んでいる「みしまふるさと塾」の塾長・綿貫悟さんは、自分が住んでいない三島地域をフィールドにして活動しています。
きっかけは、三島地域に住んでいる友人とともに「全日本丸太早切選手権大会」や「みしま竹あかり街道」といった地域イベントに関わったこと。
その後、住んでいないからこそわかる里山の楽しさに目覚め、みしまふるさと塾での活動を始めました。
綿貫さんによると、自分が住んでいない地域に関わるメリットは“ソト目線”をもてること。
自分がその地域に住んでいないからこそ、常に地域にいる人では気づけない地域の魅力を発信できると言います。
現在、綿貫さんは“ソト目線”を活かし、里山で育った杉や雑木、竹などのバイオマスエネルギーを活用したエコハウスでポポーなどの果物の栽培に取り組んでいます。
自分が住んでいる地域で活動すると、ご近所さんの目が気になったり、役割が回ってくるまで待ったりしなければならないことも。
しがらみのない環境で、純粋に地域を想う気持ちや楽しさを糧に活動できることは、自分が住んでいない地域で活動するメリットかもしれません。
好きなことを活動にする
特定の地域で活動するのではなく、自分の好きなことを活かして活動するのもおすすめです。
舛岡喜世子さんと妹の小林美知子さんは、イベントや研修の会場で、主に未就学児の見守りを行っている「保育サークル たんたん」でボランティアをしています。
舛岡さんは、以前続けていたフラダンスや陶芸などの趣味に疲れたことをきっかけに、ボランティア活動を始めました。
以来、子どもたちのかわいさや、趣味では得られなかった、子どもたちや親御さんに直接「ありがとう」と言ってもらえるうれしさがやりがいとなり、約10年間活動し続けています。
小林さんは、親の介護が終わり趣味を探していた際に、舛岡さんからの勧めで活動に加わり、約5年が経ちました。
小林さんは、活動のために外に出て人に会うことに楽しさを感じているそう。
「他のメンバーと食事や日帰り旅行に行くことも楽しみの一つ。何もせず家にいたら、だらだらしてしまっていると思うので、活動に加わることで生活に張りが出ています」。
また舛岡さんは「活動時間を自由に選べるので、空いた時間で誰かのお手伝いができます。資格がなくてもできますが、『子どもたちにケガをさせてはいけない』という思いから生まれる責任感が、やりがいになっている部分もあります」と話します。
自分の趣味や興味のあることを活動にするメリットは、何といっても似た価値観や考え方をもった人たちと友だちになれること。
活動のために定期的に顔を合わせることになるので、自然と仲良くなりやすいのかもしれませんね。
探しに行こう、あなたのサードプレイス
活動場所別に、それぞれの楽しさやメリットをご紹介しました。
自分で住んでいる地域で活動する場合、緊急事態の際に助け合える関係が築けるというメリットがある一方、住んでいない地域で活動する方が、しがらみがなくのびのびと自分のやりたいことができる可能性も。
好きなことを活動にする場合は、同じものを好きな人同士、気の合う友だちができるかもしれません。
長岡市には、あなたのサードプレイスになりうる活動がたくさんあります。
新しい環境に飛び込むには勇気がいることですが、一歩踏み出した先にあるのは、自分を活かすことができる喜びや同じ想いをもった仲間、「ありがとう」と言ってもらえるうれしさかもしれません。
あなたも、あなたのサードプレイスを見つけてみませんか。