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更新日:2023.04.21

越路の郷土芸能は多世代間の共通言語 | 桑原舜人さん

地域をよくするウワサのあの人にインタビュー!毎月、市民活動に取り組むプレイヤーをご紹介。活動に関わったきっかけや、どんな役目を果たしているのか伺う中で、活動への多様な関わり方が見えてきました。

桑原 舜人さん
22歳/会社員/本条白山若翔会、越路歴史文化の会、こしじまちづくり協議会
2000年旧越路町生まれ。地元の郷土芸能の研究や継承、越路地域の芸能保存団体との交流、意見交換を深め、芸能による地域活性化を目指している。また、地域の会合にも参加している。

地域の歴史や伝統文化の研究・継承というと、当地の名士や歴史の証人といった面々が名を連ねる印象の中、越路地域で若くして一目置かれている人物が桑原舜人さんです。祭に熱心な家庭で育ち、幼いながらに笛や踊りを真似ると親戚からとても喜ばれたという経験が、芸能に親しむきっかけになりました。

小学生の頃から「何か地域の活性化に貢献できることはないか」と考えていたという桑原さん。中学生になると、同世代の仲間約10人と共に「本条白山若翔会」の前身となる団体を結成。祭の運営の手伝い、小学生へのしゃぎりの指導、昔から継承されている手踊り芸の復興などに力を入れました。新潟市の高校に進学した時、他地域には多世代間の共通の関心事があまりないことに気づきます。それまで感じていた、祭が生み出す活気や歴史的価値に加えて、それらを通して育まれる地元愛や地域の結束が、貴重なものであることを改めて強く感じるようになりました。

7月末から8月末にかけて越路の各所で行われる秋祭りでは、しゃぎりや祭囃子、手踊り芸、巫女爺(みこじい)踊りといったように、地区によって多様な種類の芸能が披露されます。「当時の信濃川の流通事情や出稼ぎ文化、近隣の影響を受けたりと異なるルーツから継承されてきています」。と桑原さんは話します。来迎寺白山神社氏子総代会長の今井さんから神社の創建の歴史や祭り芸能の変遷を聞いたり、他地区の方から越路の豊富な芸能を教わったりもしました。「高齢者施設や保育園でしゃぎりを披露すると、お年寄りも小さな子どもたちもそれぞれに楽しんでくれ、この地の郷土芸能は世代を超えて私たちをつないでくれる“共通言語”だと実感できます」。

来迎寺白山神社氏子総代会長の今井さん(左前。本条白山若翔会顧問)とともに。神社や地元の歴史のほか、しめ縄づくりなどの習わしについても学びます。

越路の芸能文化の歴史に人一倍詳しくなり、また地域の人々の信頼も集めていった桑原さん。歴史文化の会やまちづくり協議会の一員に抜擢されるなど、祭だけの交流を超えて、地域の将来を担う存在としても期待されています。「多様な立場の方々が出来ることを持ち寄って作り上げるところが、祭もまちづくりも似ています。郷土伝統芸能に対する関心の輪が若者の間にも広がることで、地域そのものの活性化にもつながることを願っています」。

祭という共通の話題で、年の離れた世代との交流が深まりました。


本記事は、らこって2023年4月号でご紹介しています。

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