長岡市内で活動する団体を訪問!
今回は、「カラダLab.」さんにお話を伺いました。
どんなことをしている団体ですか?
雪国ですこやかに暮らし続けるためのカラダケア講座やヨガクラスを行なっています。
また、情報過多の時代、根拠に基づく正しい知識や情報をSNSで発信やママ・ファミリー向けイベントに来場されたお子さまの発達やママのカラダのお悩みの相談受付を行っています。
活動を始めたきっかけと、これまでの歩みを教えてください
理学療法士として長年、病院でケガや病気の方のリハビリテーションを担当しています。病院で出会う患者さんの中には、不慮の事故を除き、治療を要する痛みやけが、病気になるのを未然に防げたと思われる人がとても多くいます。
地域のみなさんがケガや病気をするまで、患った人=患者さんになるまで病院で待っているのではなく、医療従事者・専門職としての自分の知識や経験を活かして、予防の大切さや根拠に基づいた正しい知識とカラダケアを地域のみなさんに伝えていきたい、という想いを長年持っていました。
私は20年前の7.13水害、中越地震、豪雪災害の年に東京から長岡市に転入してきました。 2人目の妊娠に気づいてすぐに長岡で初めての冬を迎えました。長岡で迎えた初めてのその冬は、災害級の豪雪となり、右も左もわからない除雪作業に悪戦苦闘したのが良くなかったのか、切迫流産・早産で長期入院になってしまいました。出産後すぐに離婚。
雪国に住み続けている人には、当たり前で、たやすく、悩んだり考えたことがないよう なことも、雪国に転入してきたばかりで余裕もない私には負担・不安なことばかりでした。
新型コロナウイルス禍だった2022年12月末~2023年1月に起きた豪雪災害直後、渡辺が 妊娠中・産褥期の除雪作業の実態調査、同時期に除雪作業で起こったと考える心身トラブルについての実態調査 、互助・共助の現状、公助の周知度・満足度についての実態調査目的で 『妊娠中・産褥期の除雪作業についてのアンケート』を実施しました。
雪国に転入してきた自分自身のつらい経験から、私みたいな人をひとりでも減らしたいという想いと、病院のリハビリテーションの現場で長年感じていた想い、そしてアンケート結果からみえてきた雪国の地域課題解決への想いから、2023年5月にカラダLab.を結成しました。
カラダに負担をかけない除雪作業方法指導を含む、雪国での暮らしをラクにするカラダケア講座は、昨年に引き続き、今年も開催することができました。かつての私のような移住者の方々にもご参加いただくことができました。
また、子育て中の親子を支援する団体、障碍児とその家族を支援する団体、移住者の団体など他の団体とのつながりができ、カラダケア講座やヨガクラスのご依頼をいただくことも増えてきました。様々な想いが、地域で少しづつ形になってきているようで嬉しいです。
どんなメンバーで活動していますか?
中越地区の病院や治療院、放課後デイサービスに勤めている理学療法士らがメンバーです。
周囲の反応や、取り組んでいてよかったことまたは大変だったことを教えてください。
・除雪作業の講座は、雪国で暮らし続けている方からは「気にも止めなかったこと、心のどこかであきらめていたことだったから目から鱗だった」、移住者の方からは「いつも優しい長岡の人に質問しても誰からも答えがなかったのでありがたいです」という感想をいただいています。
私が転入してきたときも、現在も、雪国に暮らし続けている人にとって、除雪作業はカラダに負担がかかるが生きるために仕方なく行なうもの、というあきらめを感じながら、そして老後という将来の不安も感じながら毎年取り組む作業のように感じます。
移住者の方が前向きに取り組もうとされる一方で、あきらめや不安を感じながら雪国に暮らし続けている方に講座に参加してもらうためにはどうしたら良いか、ということはカラダLab.にとって大きな課題です。その課題が解消されてくると、少子化や人口流出といった地域課題解決につながっていくのではないか、と考えています。
医療現場で培ってきた知識や経験、そして感じている想いを地域で活かす、地域につなげる、という気持ちで活動し始めましたが、活動を通じて今まで接したことがないような多種多様な方々・他の団体様と地域で出会い、つながりがひろがってきたことで、結果的に本職のスキルアップや社会人としての視野の広がりや成長につながっていると感じています。
かつての私のような人をひとりでも減らしたいという想いで今の自分が活動していることで、不思議と当時つらかった自分自身も救われています。
理学療法士の知名度が低く、集客に悪戦苦闘しています。理学療法士が地域でどんなことができるのか、今後も地道に活動を続けていくと共に、もっと上手に発信していきたいと考えています。
私以外のメンバーは子育て真っ盛りです。かつての私のように、メンバーはみな、子育て、働き方、自分らしさなど様々なことに悩みながらも仕事に育児に真摯に取り組んでいます。
私の子育て中は、ひとりぼっちでしたし、想いはあっても地域で思うように行動できず、自己有用感は下がり続ける一方でした。メンバーには同じ熱い想いを持つ者同士として、ささいな相談に乗ってもらったり、愚痴を聞いてもらったりしてたくさん支えてもらっていますから、活動に思うように参加できない後ろめたさは手放し、自己有用感を思い切り感じてもらいたいと想っています。
今後の展望を教えてください。
健康で暮らし続けるための力=ヘルスリテラシーの高さは、予防との関係が非常に深く、かつ親のヘルスリテラシーは、子どもの健康に直接的な影響を与えます。大人が日々の暮らしの中で自分のカラダとココロを大切にする姿を子どもたちに見せていくことは、次の世代の子どもたちのヘルスリテラシーを向上させることにつながり、そして地域全体のヘルスリテラシーを向上させることになると考えています。カラダケアを通じて今まで以上にママや大人たちに働きかけていくこととあわせて、自分自身に興味が湧きはじめ、これから大人になっていくティーン世代へも積極的に働きかけていきたいと考えています。
病院で理学療法士が携わるリハビリテーションは多職種協働があってこそ成り立ちます。病院で培ってきた多職種協働のスキルを活かし、地域でも積極的に多くの方々、団体とつながり、より良い地域づくりの一助となれるよう努力していきたいです。
防災同様に除雪作業も「自助努力」が基本です。正しい知識と根拠に基づく方法を知り、備えることでまずは自分のカラダとココロをラクにしましょう。自分がラクになることで余力が生まれ、はじめて互いを助け合う地域での 「互助」につながると思っています。
互いを助け合う良い雰囲気が拡がれば、やがて少子化や人口流出といった地域課題解決にも結びつくと信じてカラダLab.は活動していきます。妊娠中・産褥期の方、移住者の方はもちろん、雪国で暮らし続けている方もぜひ、カラダLab.とつながってください!!
▶カラダLab. のInstagramはコチラ
こちらの内容は、YouTubeのほか各種音声メディアでもお楽しみいただけます!ぜひご視聴ください。